君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第13章 13
取り敢えずは本番を見守ろう。
リハはしっかり見ていないが、も龍之介もしっかりと役に入り込んでいるようだし、見ていても照れが入る等の問題はなさそうである。
それでもやはり、自分の担当タレントとはいえ、万理はまだこういうシーンを見ているのは慣れていない。
が、はしっかりとやり遂げるのだから、きちんと見ているべきだ。
[雅…]
[徹さん…]
唇を重ねる二人。
短い口付けの後、もう一度口付け、離れてしまったかと思えば、密着して再度口付けた、
本番故に、カメラを意識して角度を調整した口付けだが、カメラが動いたのを察知した龍之介が顔の角度を変えの唇を軽く吸い上げる。
「ん…」
啄むように口付け、の肩がピクリとはねたところでカットがかかる。
「おっけー!良かったよ二人とも!!」
「ん…ありがとうございます」
唇を離し、その唇を軽く舐めるに、龍之介は今更ながら真っ赤になってしまう。
「ありがとうございます!あれ、OKという事は…」
「一発OK!」
「ありがとうございます!良かったぁ…」
ほっとしたように微笑むのなんと愛らしいことか。
周りのスタッフがほっこりと微笑む中、龍之介も愛おしげにを見る。
「セット変えまーす!」
「十くんとさんはちょっと早いけどお昼取っちゃって」
「はい!」
「はーい!十さん、今日ケータリングでしたね」
「ね、楽たちが来たから早く呼ばれちゃって大変そうだったね」
くすくす笑いながらケータリングが準備されているところまで移動すれば、おー、と感嘆の声。
「おいしそう!」
「美味しかったよ。僕のおすすめはこれ」
今日は出演者もスタッフも多いからか、圧巻の品ぞろえ。
そんな中後ろから声をかけられ振り向けば、天の姿。
「九条さん!見ててくださったんですか?」
「うん、そろそろ時間だから僕はいかないといけないけど。さん」
「はい」
「すごくいい演技だった。放送楽しみにしてるね」
「……ありがとうございます」
天の言葉に、控えめに微笑む。