君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第119章 119
[高宮先生!]
[どうした?日向]
[日向じゃなくて、柚葉!]
[俺は生徒は名字で呼ぶの。で、どうした?]
[むー…あのね、さっきの授業で分からないところがあって…]
[うん?…あぁ、お前ここボケーっとしてたろ]
[え、なんで分かったの?]
[何でってそりゃ…]
「で、ここで楽の「ずっと見てたから」ってモノローグ入って…」
「おう」
[何でもねぇよ!]
[んー?気になる!]
[何でもねぇの。で、ここな。こっちの応用。このxを…]
[ん、分かりました。ありがとう、せんせ]
[お前やればすぐできんだから、ちゃんと聞いとけよ]
[高宮先生の授業だけはちゃーんと聞いてるし、見てるんだよ?]
[わかってんなら、何で聞きに来るんだよ]
[そんなん決まってんじゃん]
「ここで私のモノローグが「もっと一緒に居たいから」だね」
「ん」
[?なんだよ]
[秘密。あー…そろそろ帰んなきゃ…はぁ。んじゃ、先生、また明日ね]
[?ん、おう。気を付けて帰れよ]
「こんな感じで如何でしょう?」
「セリフだけでこんなガッツリ感情入れやすいの初めてかもしんねぇ…すげぇな、」
「そんな褒められると照れるなぁ」
ケラケラと無邪気に笑っているが、の相手を引き込む演技は他の追随を許さないほど群を抜いている。
実際、セリフを合わせるだけで楽は目の前のが愛しくて仕方なくなっている。
これを本番で動きを入れて、更に感情を込めた演技をしてしまったら、自分はどうなってしまうのだろうと言う若干の恐怖すら覚える。
「、そろそろ時間」
「あ、はーい!すぐ行きます!じゃあ楽、明後日からまたよろしく!」
「おう、こっちこそよろしくな」
手を振りながら去って行くを見送り、楽は台本を見る。
「…大丈夫か、俺…」
自ら発した小さな独り言に、一抹の不安を覚える楽であった。
「次、なんでしたっけ?」
「次は「キミと愛なNight!」の打ち合わせ。大和くんが来るよ」
移動のために車に乗り込んだは、万理の運転で次の現場へ向かう。
「了解です。あ、事務所での打ち合わせでしたね。…なんか、万理さんにスケジュールお任せしきっててすみません」