君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第12章 12
「九条さん、八乙女さん、失礼します」
「お、おう」
最後礼をしてその場を去ると龍之介を見送り、天と楽は顔を見合わせる。
「ありゃぁ…」
「あれは龍もつかまっちゃうね」
天の言葉にうんうんと頷く楽。たった一目で、の魅力にとらわれてしまったようである。
「お待たせしました!」
「うん、大丈夫だよ。で、さっきのシーンなんだけど…」
「…何か問題ありましたか?」
「いや、最高すぎて。で、さんにはもう少し十くんに近づいて欲しいんだ。こう、積極的というか」
監督の言葉に、は一考した後龍之介を見上げる。
「十さん、いいですか?」
「うん」
龍之介の正面に立ち、は龍之介の着る軍服の胸のあたりに手を置く。
「さっきは、こんな感じでしたよね?」
「そう」
「これを積極的、というと…十さん、失礼します」
「うん…うん?!」
失礼します、と言うなり、は胸においていた手を上げ、龍之介の首に抱き着くように腕を回した。
「こんな感じ、でしょうか?」
「そう!キスを二回ってお願いしたんだけど、一回目は十くんの胸のあたり、二回目はそうやってちょっと密着度を上げて欲しいんだ。十くんも、ちゃんをこう、抱き寄せて…そう!」
監督のその要望に、は更に龍之介に抱き着き密着してみる。
これは仕事。仕事。仕事だから。落ち着いて俺。
心で何度も唱え、龍之介もまたの腰に腕を回し、引き寄せる。
「はわ…」
「その、誰にも付け入る隙がない!みたいな感じを二回目のキスで出して欲しいんだ」
「なる、ほど…わかりました」
「うん、お願いね。少し休憩して、本番行こうか」
「はい」
「わかりました」
監督に頷き、休憩の号令がかかれば、龍之介は仲間の元へ。