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君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】

第12章 12




「お疲れ様、。良い感じだったよ」

龍之介を見送れば後ろから声を掛けられ、は振り返り苦笑する。

「万理さん…息潜めてましたね?」
「俺の顔見たら照れてやりづらいかなーって思って」

昨日【がんばっ☆】とだけ送ってきたのと同一人物とは思えない慮り方である。
もしかしたら大和が遠回しにか、陸が無邪気にド直球に万理にそれとなく伝えてくれたのかもしれない。

「おかげで、というか…、はい。しっかりとリハは出来ました」
「うん、良かった。本番は?大丈夫?」
「リハで大丈夫だったので、きっと大丈夫かと。十さんもたくさん気遣ってくれるので、安心してます」

の答えに、万理はこくりと頷き、そして龍之介をちらりと見る。

「龍の気持ちがよく分かったよ俺は」
「え、ホント?」
「天が昨日言ってたのも理解しちまった。この役俺がやってたら、マジで龍と同じ状態になってたかもしんねぇ…。惚れてねぇからな?!誤解するなよ!」
「あ、うん。大丈夫。分かってるよ」

余裕そうな龍之介に、天は目を細めて彼を見上げる。

「龍」
「何?」
「彼女と何かあった?」

鋭すぎない?!!
と天の言葉にびくーっと背筋を伸ばす。
そんな龍之介の態度に、やっぱりか、とため息をつかれる。

「マジでなんかあったのかよ」
「…ちょっと、だけ…」
「…まぁ、僕もうっかり見とれちゃったから、偉そうに言えないけど。仕事はしっかりしなよ。君のファンが見る作品だってことは忘れないように」

そう言って龍之介を見据える天に、龍之介はぐっと腹に力を込め頷いた。

「うん。クランクアップまで、ちゃんと走り切るよ。ちゃんには、その後にちゃんと話す」

真っすぐな龍之介の瞳に、納得がいったように天は頷き、本番頑張ってとエールを送るのであった。

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