君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第109章 109
「そっか。とにかく、明日そんな顔じゃ十くんも心配しちゃうから、今日はちゃんと寝るんだよ」
「はい。頑張ります…」
寝るのって、頑張る事かなぁ?
等と思いつつ、エントランスに車を着けて万理はを見送る。
足取りはしっかりしているが、明らかにメンタルが疲弊しているのが見てわかる。
「ただーいまー」
玄関を開けながら呟き、電気をつける。
今の時間はライブの本番真っただ中だろうと、時計を見ながら頷き、兎に角何かしら腹に収めねばと荷物を片付けてから着替えつつ考える。
「そういえばお昼から何も食べてないかー」
呟きながら冷蔵庫を開ける。
中身は買い出しをしていなかったからかほぼ空で、小さく息をつく。
「今日は食べなくても良いかなぁ…なんかアイスとかで」
龍之介が聞いたらさっそうと何かを拵えそうな言葉を呟きながら冷凍庫を開ければ、見慣れないタッパー。
<へ。温めたら晩ご飯になるよ。ちゃんと食べて元気に過ごしてね>
そう添えられたメモには、龍之介の優しくて力強い文字。
買い出しに出ないことも、食事を適当に摂ろうとしたことも見透かされていたことに苦笑するも、その笑みは段々と緩んでいく。
「龍くん……」
タッパーを取り出し、メモをはがしてもう一度読めば、勝手に涙が溢れてくる。
寂しいだけじゃない。
龍之介のへの底なしの愛情と優しさが嬉しかった。
「っ、ちゃんと食べるっちゃんと寝る!」
昨晩はビデオ通話でなく、普通に音声通話だった。
だから何となく油断してしまったが、今日ビデオ通話だった時にこの顔を見られたら、龍之介はその足で帰って来かねない。
そんな事にさせるわけにいかないと、は頬を軽く叩き、涙を拭ってタッパーをレンジへ投入。
「ご飯温まるまで目元マッサージしよ」
目元を温めながらマッサージしていれば、頭もすっきりしてきた。
よくよく考えれば、明日には会えるのだ。
くよくよしている間に、明日龍之介が喜ぶことを考えた方が何倍も良い。