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君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】

第109章 109




龍之介がライブツアーで大阪へ行ってから三日目。
最初の二晩は何とかこなしたが、の寂しさは割とピークに達していた。
けれど、お仕事はそんな寂しさを鑑みてなどくれない。

「カーット!一発OK!さん、オールアップです!」
「ありがとうございました!」

連ドラの撮影が全行程無事終了し、花束がスタッフから贈られる。
主役の二人はまだ少し撮影があるが、は一足先に引き上げである。

「貴女、本当に17歳?役は16歳だけど、演じる能力はもうベテランよ」
「そんな、私なんてまだまだです。皆さんが引っ張って行って下さったから、良い演技が出来たんだと思ってます。たくさん勉強させて頂いて、ありがとうございました!」

主演の女優にめっぽう気に入られたらしいは、花束の他にプレゼントも渡される。

「ちゃんが使ってるって言ってたブランドのボディミルク。また一緒にお仕事しましょうね」
「沢渡さん…!はい、ありがとうございます!また一緒にお仕事できる日を楽しみにしています!」

頭を撫でられて、は更に嬉しそうに笑う。
ホントに可愛いんだからぁ!と抱き締められるこの光景は、ドラマの撮影中によくみられていた。

「本当には…人たらしというか…」
「人たらし…?」
「その気になれば人類すべて虜にできそうだなって思って」
「いやぁ…さすがにそこまでのポテンシャルは無いですよ」

車に戻ったに、万理が苦笑しつつ声をかける。

「さて、今日は日曜日。十くんは明日帰ってくる訳だけど…というか、クマが酷いんだけど…」
「昨日、寂し過ぎて寝れなくて…てか、四時起きの五時現場入りっていつ寝ればよかったのやら」
「確かに…。朝日のシーン撮りたかったらしいから仕方ないと言えば仕方ないけど…短期間でも寮戻ったら多少寂しさ紛れて休めたんじゃない?」
「寮は…龍くんの面影がなさ過ぎて逆に寂しくなっちゃうかと思いまして…」

うわぁ、十くんに聞かせてぇーーー。
龍之介が聞いたら両手で顔を覆って悶え狂いそうだと思いながら、万理はハンドルを操作してマンションへと向かう。
実はもう龍之介は聞いていて悶えているのだが、それを万理は知るはずがない。

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