君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第107章 107
「ふぅ…やる気出てきた」
「今までやる気なかったの?」
「え?!そういうことじゃなくて!もちろんリハもしっかりやったしライブはすっごく楽しみなんだけど、を置いてきた心配も結構残ってて…。でも、も東京で一人で頑張ってるんだから、俺ももっと頑張ろうって思ったんだ」
「なんにせよ、本番に向けてやる気が出たのは良い事だわ」
うんうんと頷き、姉鷺はTRIGGERの三人に目を向ける。
「明日はとうとうツアー初日。今夜はゆっくり休んで、明日しっかり頑張って頂戴」
「はい!」
「あ、そうだ。姉鷺さん、地方限定グッズって、今からでも買えますか?」
「え?大丈夫だと思うけど…ああ、ちゃん?」
「はい。万が一残ったらで良いって言われたんですけど、滅多にないからのおねだりなので…」
「確保しとくわ」
頼もし過ぎる姉鷺の言葉に、龍之介はありがとうございます!と一礼する。
「姉鷺も、に甘いよな」
「あの子ね…なんか、母性くすぐるのよねぇ…」
姉鷺はプロとしてののことをかなり高く評価している。
女優としても、歌手としても、TRIGGERの良きライバルの一人と認めてもいる。
しかし、龍之介と共に過ごすプライベートののことは、何故か実の妹か娘のように思ってしまうらしい。
「龍が底なしに甘やかしたくなるのもちょっと分かっちゃうのよね。この私がたった一人の小娘に甘くなるなんてってちょっと悔しいんだけど」
そう言ってくすくす笑いながら姉鷺は楽屋を出ていく。
物販はすでに始まっているそうだから、売り切れが出る前にグッズを確保したいのだろう。
「さて…ツアー初日頑張って行こうな」
「うん!」
「言われなくても」
軽く三人で手を合わせ、取り敢えずこの日の夕飯を何するかの相談に入る三人である。