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君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】

第106章 106




「うーん…私は一番最初に録ったのが好きです」
「俺もそうかなぁ…」
「何回も歌ってもらってるしどれも良いんだけど、実は僕も一番最初が良いかなって思う」

満場一致でレコーディングを終え、近くのスタジオへ。

「おはようございます。よろしくお願いしまーす!」
「おはようちゃん。早速着替えとメイクしよっか」
「はーい」

メイク室に入り、早速準備開始である。

「最近肌綺麗になってるよねぇ」
「基礎化粧品ちゃんとしたのに変えて、自炊も増えてるからかもです」
「彼氏とラブラブなのもお肌にいいのよー?」
「なるほど。それは一理あるかも…」
「このこのぉー」

スタイリストの言葉に納得しながらメイクを終え着替えれば、スタジオへと入る。

「よろしくお願いしまーす」
「さん。今日見学に来られた方がいらっしゃるんですけど」
「見学?」
「月雲事務所からで断りづらくて…」
「あぁ、そうですよね。私は大丈夫ですよ。というか、私なんかの撮影で良いんですか?」
「良いんだよ」
「……は?」

スタッフでない返答に思わずとげの付いた返答をしてしまう。
この声は、最近になってやたらと聞くようになった。

「御堂さん…」
「俺のデビューCDジャケット撮影の参考にさせてもらうぜ」
「……ご自由にどうぞ」
「さん、撮影お願いします!」
「はーい」

今回の新曲のコンセプトは「片思い」。
相手はもう付き合っている人がいるけれど、諦めきれない少女の心を歌ったものである。
かと言って切ないバラードではなく、自分磨きを頑張る女の子を応援するようなポップなものとなっている。
故に、自分磨き成功時のような明るい雰囲気のイメージのセットだった。

「アイツを見返して振り向かせてやる!という前向きに頑張る女の子のイメージでお願いします」
「はい!」

コンセプトがあれば、そつなくこなすことが可能な。
設定が弱くても自らのアドリブ力でこなすことは出来るが、当然のことながらコンセプトがあればめっぽう強い。
そんなの姿を、スタッフのみならずじっと見つめる虎於。
その視線は獲物を狙う肉食獣に似たものを感じ取り、写真確認に一旦ストップしたに万理がさりげなくガードするように近づく。

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