君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第106章 106
「、彼は?月雲って聞いたけど…」
「今度月雲プロからデビューかなんかするらしいですよ。デビューCDとか言ってたんで、歌手方面ですかねぇ。彼個人としては、実家の旅館と付き合いのあるホテルのお坊ちゃんです」
さも興味なさげに淡々と説明するに、万理は逆に不安を感じてしまったらしい。
「と彼の関係は?」
「関係も何も…無関係としか…」
「元彼とかじゃないよね?」
「私の元彼はいません。今の彼が初の彼氏ですから」
の瞳に嘘はない。
龍之介の名前を迂闊に出せないのが何とももどかしいが、の言葉に納得したようにこくりと頷き、万理はそれでも虎於からを守らねばと本能的に悟ったようだった。
「何となく…狙った獲物は逃がさないタイプっぽいし…。彼が戻るまで、しばらく一人にならない様にね」
「了解です」
心配性だなぁ、と思ってはみるものの、同じ業界に来てしまった以上同じステージに立たれたも同然である。
虎於も歌うというのなら、共演も少なからずあるだろう。
知り合いという関係が知られれば面倒なことにもなりかねない。
そこまで考え、は万理のその言葉に深くしっかりと頷くのであった。