君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第105章 105
「十さん…ちゃんと付き合ってる噂、本当だったんですね」
「うん。でもまだ公表してないから」
「黙っておきます」
「ありがとう。、会計纏めてしちゃおっか」
「お散歩財布から出す?」
「うん、そうしよう」
頷けば龍之介が財布を取り出す。
旅行に備えて二人で決まった額を入れた財布だ。
食事やお土産代などをここから出せば、勝手に会計が折半される。
足りなくなったらまた同じ額ずつ入れて、残ったお金は最後に分ければいい。
と龍之介は給料日にいくらかずつここに入れ、二人で行く外食やデート費をここから出すことにしていた。
何とも合理的で、二人ともこれは良いと即座に決めたシステムである。
「ありがとうございます」
袋に詰められた荷物を受け取れば、横から龍之介が荷物を持ち上げる。
「ありがと、龍くん」
「どういたしまして。チェックアウトまでまだ少しあるし、部屋でゆっくりしよっか」
「うん」
こくりと頷くの頭を撫で、そのまま手を取り繋ぐ。
そのさりげない仕草すら、未だにきゅんとするである。
「じゃあ虎於くん、花巻さん、お先に」
「またね、すみれちゃん」
手を繋いだままエレベーターに乗り込み、扉が閉まるなり唇を重ねる。
「大丈夫だった?」
「うん、まさかすみれちゃんがいるとは思わなくてびっくりしたけど…すみれちゃん、男の趣味悪い…」
「こらこら、人の趣味に口出しちゃダメだよ」
つん、の額をつつきゆるッと注意する龍之介だが、聞き方によっては龍之介も大概ひどいことを言っている。
「はぁい」
素直に頷くに良い子、と微笑みつついた額に今度は口付ければちょうど最上階へと到着した。
部屋に戻り、土産のパッキングを兼ねて荷物を整頓し始める。
「お土産は帰り際届けに行く?」
「ううん、私は明日事務所行く用事あるから明日持ってく。龍くんは?」
「俺も明日事務所行くから、その時もっていこうかな。天と楽にも会えるし」
了解、と頷き手際よく荷物を詰めていく。
きちんと詰め終えた荷物に満足げに頷き、は龍之介に抱き着きソファに座らせその膝に乗った。
「甘えん坊さん」
「ダメ?」
「むしろ大歓迎」
龍之介の答えに嬉しそうに微笑み、はそのまま口付ける。