君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第104章 104
浴衣をすとん、と落とせば真っ白な眩い肌が現れる。
本当に、この娘はいつまでも穢れと言うものを知らないようだ。
「綺麗…」
「龍くんも綺麗なの知ってる?」
同じように龍之介の浴衣の帯をほどき、浴衣を落としながら抱き着く。
「くっ付いてるだけで気持ちいい…」
「俺は必死」
「…?えへへ、入ろっか」
龍之介が必死に何を耐えているかに気付いたはにへ、と笑いながら龍之介の手を引き浴室へ向かう。
その後ろ姿すら、龍之介が美味しそうだと思ってしまう事には気付いているのだろうか。
「ご飯食べて―、お土産買ってー、夕方には家帰れてるかな?」
「そうだね、それくらいかな」
「龍くん、明日何時から?」
「俺は11時に出る予定」
「私は10時。ゆっくりできそうで良かった」
この旅行が終わったら、龍之介は全国ツアーの為にしばらく土日が留守になる。
場所によっては前乗りや後泊はあるため、週の半分が留守の時もある。
寂しいのは確かだが、龍之介がライブを心から楽しんでくれる方が嬉しい。
「東京公演楽しみだなぁ」
「チケット頑張って取ったんだね」
「ふふふー、家じゅうピッカピカにして、その日の運勢のいい方向向いて、TRIGGERグッズ抱き締めながら、TRIGGERの曲流してお清めしてから挑んだからね!」
完全にオタクの所業である。
しかしそれをやってチケットを二日間取っているのだから見事である。
「…FC入ってるっけ?」
「もちろん」
「FC先行?」
「一日目は先行でご用意されたけど、二日目は外れたから一般で取った」
そう言えば一般発売日のは家中もベランダも水回りも徹底的に掃除していたなと思い出す。
「全裸でポチるといいってナギ君から聞いたんだけどさ」
「全裸?!!」
「さすがに…さすがに全裸でスマホ握ってたら龍くん引くかなーって思って、やめといた」
「やめといてもらって良かった…」
「やっぱ引いちゃう?」
「襲っちゃう」
恐る恐る問うに、龍之介は首を振りながら真顔で答える。
「愛されてますね、私」
「当たり前じゃないか。どんなだって愛してる」
「おばあちゃんになっても?」
「その頃には俺だっておじいちゃんだよ」
「超イケてるおじいちゃんになってそう。よし、私も可愛いおばあちゃん目指す!」