君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第11章 11
「好きだよ、」
「私も、あなたが好きです。龍之介さん」
本当か、演技か、わからない。
だけど、のその言葉をきっかけに、龍之介はそっとに口付ける。
「っ、ん…」
「可愛い…」
頬を染め、照れ臭そうに龍之介を見上げる。
そんなに龍之介は呟くと共にもう一度口付けた。
「ぁ…ん、」
「」
「龍之介さ…ん」
もうだめだ。止まるんだ。
じゃないと、このままを離せなくなる。
けれど、が背伸びをし、薄い唇を龍之介の唇に押し当てた瞬間、龍之介はを再度抱き締め、口付けを返してしまった。
啄むように何度も、角度を変えて何度も、の唇を奪う。
ああ、もう引き返せない。
俺はこの子が好きなんだ。
もう、このままどうなってもいい。
私はこの人が好き。
共演者だから、とか恋人役だから、とかではない。
紛れもなく、このという少女を、十龍之介という男を、愛してしまった。
「…そろそろ行かないと、ね」
時間にして五分弱。
体感としてはそれより短い。けれど、未だ抱き締め合う二人の心は満たされていた。
「十さん…」
「ん?」
「…ありがとう、ございます」
呟きながら、は更に龍之介に抱き着く。
「…俺こそ、ありがとう。ねぇ、これからもちゃんて呼んでいい?」
「勿論。私まで龍之介さんって呼んじゃうと怪しまれちゃうから、私はもう少し十さんって呼びます」
何だか恋人同士の秘密の会話のようになり、龍之介は小さく笑いを抱きしめる。
蜂蜜のような甘いの香りを吸い込み、息を吐き出せば、その吐息が首筋にかかりがピクリと反応する。