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君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】

第11章 11




「…うん、ありがとう。そう言ってくれて、嬉しいよ」
「…はい。でも、覚悟していたとはいえ、本当にファーストキスがお仕事になっちゃうのはちょっと寂しいような…女優としては本望のような…変な感じです」

そう笑顔を浮かべるが、どこか悲し気で、龍之介は思わず口に出していた。

「じゃあ、カメラの外でしてみる?」
「…十さん…」
「…?!俺、今…ご、ごめん!!そんなの嫌だよね」
「嫌じゃ、ないです…」

待て。
天に
大和に
止められているではないか。
撮影が終わるまでは恋心は抑えた方がいいと言われて納得したじゃないか。
しかも昨日。

けれど、龍之介を真っすぐ見つめてくるに龍之介が、を愛おしそうに見つめる龍之介にが、止められるわけなかった。

「…さん」
「十さんとなら…嬉しい」

その一言で、躊躇はなくなった龍之介は頷き、の手を取り歩き出す。

「十さん…」
「…ごめん、止められない」

空いている部屋に適当に入り、を見る。
緊張しているように見えるが、が後ろ手に鍵をかけた音がした。

「さん…」
「…今だけ、キスの間だけでいいから、私を十さんの恋人にしてください。だから…」

名前で、呼んでください。
じっと見上げてくるに、龍之介は頷き、を抱きしめた。

「」
「っ…はい、龍之介さん…」

好きだと、そう思っている人に名前を呼ばれることがこんなに幸せだとは。
好きな子に名前を呼ばれることに、こんなに幸せを感じるとは。

名前を呼び合い、龍之介は抱き締めたままのの顎を指で掬う。
人形のような整った顔立ちのが瞳を潤ませ、愛おしそうに自分を見つめている。

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