君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第11章 11
「可愛い…」
「っ、十さん…恥ずかしい、です」
頬を染め呟くに、龍之介も今さらに軽く頬を染め頷く。
時間は迫っている。もっとこの腕の中に閉じ込めておきたいが、もう、離れないといけない。
「そろそろ…行こうか、準備しないとね」
「はい、十さん…先に、行ってください」
確かに空き室から一緒に出るのは危険が伴う。
も気持ちの整理があるだろう、と龍之介は扉の鍵をそっと開ける。
「ちゃん」
「は、い…っ」
名前を呼び、顔を上げたに口付ける。
その表情が可愛くて、うっかり微笑んでしまう。
「リハも、本番も、フリじゃなくていい?」
「はい。…フリは、嫌です。してほしい」
何その可愛いセリフ何なの?
そんなことを思いながらも、こくりと頷くに龍之介は微笑み、最後にの頭に口付けてから扉を開いて出ていく。
「あとでね」
「はい、また後で」
龍之介を見送ったは、そのまま口を押え、しゃがみ込んだ。
「…好き」
「…好き」
一方部屋を出た龍之介も、部屋から少し離れた場所で立ち止まり、口元を抑え呟いた。
「…俺、キス魔みたいだった…。でも、可愛かった…可愛すぎた…」
「…好き…龍之介さん…大好き」
お互いのそんな呟きなどいざ知らず、二人とも頬を軽く叩いて気持ちを切り替え、撮影の準備へと向かうのであった。