君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第101章 101
「オフの日に電話なんて珍しい…」
基本的にオフの日には万理や紡、事務所から仕事関係でかかってくることは殆どない。
いつでも返信可能なメッセージはあるが、電話はこれまでもほぼ全くなかっただけに、余程のことなのだろうと察した。
「龍くん、ちょっと待ってね?」
些か残念そうな龍之介の膝に座ったまま頭を撫でつつ電話に出れば、興奮冷めやらぬ万理の声。
「万理さん?」
『!今度の24時間番組にRe:vale、TRIGGER、IDOLiSH7がメインパーソナリティになるって聞いてるよね』
「はい!私も会場見に行く予定でチケット…」
『それ、キャンセルして』
「へ?」
『、ステージ側に出ることになったよ!』
「え、えぇ?!私が?!Friends dayに?!出るんです?!」
胸元で叫ぶに、龍之介もまた目を見開いてを見る。
『それだけじゃないよ』
「じゃない?」
『東京国際音楽芸術祭への出演が決まりました!』
「え、え…えぇ?!!!わた、わたし…私が東京国際音楽芸術祭に?!!TRIGGERと?!」
『そう。CDの売れ行きもいいからね。是非にって』
「頑張ります!…また忙しくなりますね」
『そうだね。精一杯サポートするから、頑張ろう』
「はい」
『オフの日にごめんね、これだけはどうしても電話で伝えたくて。また頑張って行こうね』
「はい!ありがとうございます。では、失礼します」
そう言って電話を切れば、途端に頭上からきらきらとして笑顔が降って来た。
見上げれば眩しいばかりの龍之介の笑顔。
好きだなぁ、この笑顔。
そんなことを思っていれば、ぎゅう、と抱き締められる。
「すごいね、」
「ふふ、すっごく嬉しい。また龍くんと同じステージに立てる!」
その笑顔に答えるように、もにぱりと微笑む。
「Friends dayも一緒?」
「一緒!」
「楽しみがいっぱいになったね」
「うん、頑張らないと!」
何とも嬉しそうに頷く。
そんなの口元に龍之介はそっと焼き菓子を持っていく。
「あむ」
かっ、わ、い、い…!
ひとまず落ち着かせようと試みた結果だが、パクリとかぶりつくの姿に逆に龍之介が悶えてしまった。