君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第100章 100
ソファに座るなり、が膝に跨り口付けを交わす。
「って、何でこんなに甘い匂いするんだろう」
「特に香水とかは付けてないけど…龍くんもいい匂い」
「俺も香水はあんまり…」
首筋を嗅がれ、擽ったそうに身をよじれば顎を軽く掴まれ口付けられる。
「キスだけで気持ちいいし…」
「それは相性がいいのかもね」
「そうだね。」
「ん?」
「さっきの虎於くん?は知り合いなの?」
「そう、御堂グループのお坊ちゃんだよ。初めて会ったのは…私が10歳くらいの時かなぁ…その頃から苦手だったんだけど、まさかこんなとこで会うことになるなんて」
小さく息をつけば、きちんと話そうとは座り直す。
「お見合いの話、あったでしょ」
「うん。お母さんからの電話だよね」
「お母様が、あの人の事大好きなの。御堂グループが好きなのか、あの人が好きなのかはちょっと微妙なとこだけど…」
軽く首を傾げながらも呟けば、ラウンジから飲み物とおやつが届く。
「俺出るよ」
「ありがとう」
そう言いながらも龍之介の後についていけば、スタッフがワゴンを引いてやってきていた。
「ここでいいですよ」
「畏まりました。食器はまたこちらのワゴンにお戻しください」
「分りました。ありがとうございます」
「ごゆっくりどうぞ」
丁寧に一礼するスタッフを見送り、トレイを持って戻ればテーブルにそっとトレイを置く。
「お茶入れよっか」
「ん、ありがと」
カップに紅茶を注ぎ、に手渡せば一口飲んでほっと一息。
そして続きだね、と話し始める。
「始めは、お姉様の相手として婿養子を狙ってたみたいなの。確か、次男か三男だし。だけど、向こうから婿養子としては出せないって言われたみたいなんだよね」
「なるほど、それでもどうしても御堂グループとのつながりが欲しかったお母さんが、を歳が一番近い虎於君の相手としてお見合いをと…」
「そういうこと。だけど、私ほんっっっとにあの人苦手なの」
拳を握り、真顔で呟くに龍之介は思わず苦笑。
「あの、金持ちボンボンオーラを惜しみなく出してくるのがほんっとに…ほんっとに嫌なの」
「にも苦手な人がいるんだね」