君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第100章 100
「こいつより、絶対俺の方が良いだろ」
「こいつって言わないで。どこが良いのよ、言ってみなさいよ」
「家が金持ち。顔が良い。お前を昔から知ってる」
「私はお金なんか興味ない。龍くんと比べたらあんたなんか猿。昔から知ってるのは私の上辺だけ。お呼びじゃないの。私に必要なのは十龍之介で、御堂虎於じゃない」
ふん、と顔を逸らした後、龍之介を見上げ微笑む。
「龍くん、お酒は夜まで我慢?」
「うん、は何飲む?」
「そうだなぁ…あ、紅茶いっぱい種類ある!」
「はアールグレイが一番好きだけど、今日は別のにしてみる?」
「うん!何しよー」
「おい」
カウンターで飲み物を選んでいれば後ろから声を掛けられ、うんざりといった様子では振り向く。
「何」
「こっち来いよ。お前の男には俺の連れ寄こしてやるから」
「無理。私がそっち行くのも、龍くんに他の女がくっつくのも無理」
「、おいで」
龍之介に呼ばれ、はそちらを見上げ嬉しそうに微笑んで再度ぴたりと寄り添う。
「悪いけど、折角の旅行なんだ。邪魔しないでくれるかな」
「の機嫌損ねると面倒だもんな」
「まさか。機嫌が悪いも本当に可愛いけど、何より笑顔でいて欲しいから」
の肩を抱き、龍之介が頭を撫でればすりすりとが擦り寄る。
そんな子猫のようなに、うっかり虎於も見入ってしまう。
以前に会った時の、あの氷のような表情はどこへ行ったのだろうか。
「龍くん…大好きっ」
「俺も愛してる。さ、選んで行こ」
「うん!…お連れさんがいるんでしょ?そっちの機嫌損ねた方が面倒そうだし、さっさと行けば?」
「はぁ…そうだな。お前を落とすのはゆっくり時間かけるさ。今までだって待ってたんだから」
さっさと去れとばかりに出ていく虎於を見れば、は龍之介を見上げ背伸びし頬に口付ける。
「ごめんね、邪魔入って」
「のせいじゃないよ」
頭をぽふぽふと撫でると嬉しそうに微笑み、はまたメニューに視線と向け、紅茶と焼き菓子を頼んで部屋へと戻った。
「んー…ん、龍くん…好き」
「俺も好き。でも飲み物来ちゃうよ?」
「うー…じゃあ、来るまで」