君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第96章 96
相手がめんどくさくなったのか、スピーカーに切り替えは食器洗いを再開する。
『あの子は結婚するなら婿養子やろ?せやけど、御堂グループとの繋がりを持つために、次女であるあんたにお嫁に行ってもらいたいんよ』
「ああ…そういう…めんどくせぇですね」
スピーカーから聞こえる母の声に、は感情と敬語が入り混じってくる。
『……あんた、何してはるん』
「食器洗いながらスケジュールを確認しつつその片手間にお母様とお話してます」
のその言葉に苦笑しながら、龍之介は洗い終わった食器を拭いて棚に戻す。
元の位置に戻る度にを見れば、その度にの唇がキスを強請ってくる。
可愛すぎ。
そう思いながらそっと口付ければ、軽く唇を舐められた。
その間にも、電話越しのの母のおしゃべりは止まらない。
『お父さんも、こないだの入院で思うとこあったんやろね。しっかり娘たちの将来を考えなあかん言いだしたんよ』
「私のことはご心配なく。お見合いも致しませんので、きちんとお断りしておいてください。では」
食器を洗い終えると共には手を拭き、龍之介の首に腕を回し抱き着いて口付ける。
その口付けに龍之介は応えながら、をキッチンカウンターへ抱き上げた。
「やば、通話切ってな…ん」
「もう切れてるよ。大丈夫」
ちらりとスマホを見て通話が終了しているのを確認した龍之介は、画面を下に向けて再度に口付けた。
「お見合いなんてしないで」
「しない。龍くんを一瞬たりとも不安になんかさせない」
「を家族にできるのは俺だけだから」
「うん。龍くんと家族になりたい」