君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第10章 10
「十さんじゃなかったら、平常心でやれたんだろうけどなぁ…」
「え?」
「うん?」
ぽつりと呟かれたその言葉に、思わず陸も大和も聞き返してしまう。
今の言葉はまるで、龍之介が相手だからこそ、意識しすぎてこのように大暴れしているのだと言わんばかりではないか。
「ー?お前さん、まさか…」
「十さんの事好きになっちゃったの?!!」
「だからはっきり言うなてリクー。ほれ、見てみ?」
大和の言葉に陸がに視線を向ければ、クッションに顔を隠してソファに倒れこんでいるの姿。
けれど、隠しきれていない耳まで真っ赤になっている。
「うちのお姫様はエロエロビーストに惚れちまったかー」
「共演者の事好きになっちゃうなんて…プロ失格…!でも、どうしても考えちゃうんだもんっ。何がどうしても頭から離れないんだもんっ!」
重症じゃん。
しかしクッションに顔を隠していてもなお、きちんと声が通る発声はさすがである。
「まぁ、恋人役に惚れちまうってのはよくあることでさ。今は気分でそう思っちゃってるのかもしんないだろ?だから、ドラマ終わるまでは恋人役なんだからしょうがないって一旦割り切ってみたら?」
大和のアドバイスに、はやっとこさ顔を上げる。
「うん…」
「で、撮影終わってもまだ好きだとかそんなんなら、またそん時考えりゃいい。もしかしたらパタッとそんな気持ちなくなるかもしんないし?」
「うん…」
「まぁ、キスシーンに言えることはただ一つだよ」
「え?」
「「がんばっ☆」」
綺麗に重なる陸と大和に、はうっかり笑ってしまう。
「うん!ありがとう、大和さん、陸!私頑張る!」
「おう、頑張れ」
「ありがとう!じゃあ台本読みして来るね!」
微笑み頷き、は台本とスマホを持ち二人に手を振り部屋に戻る。
そして、部屋に戻るなりとある人物に電話をかけた。