君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第88章 88
「八乙女さん、九条さん、十さん、おはようございます!宜しくお願いします!」
「よろしく。どう?生で歌披露は」
「緊張しすぎて吐きそうです…」
「朝もお腹痛いって言ってたもんね」
別々に現場入りしたが今日のは久々に緊張で何も手につかない様子だった。
朝も珍しく食事も喉を通らなかったようで、急遽龍之介がスムージーを拵えて何とか飲ませたほどだ。
そんなを心配しつつも、三人に会ってリラックスした様子に微笑めば、全体の流れを確認するために先にTRIGGERの三人がセットに上がる。
「僕たちも大好きな子が、今日歌手としてデビューしたんだよね」
「歌うの、これがテレビ初披露らしいな!振り付けは龍が担当したんだよな?」
「そう!すっごくカッコイイダンスだよ!それでは早速お呼びしましょう!ちゃんです!」
リハとはいえセリフはある。
がセットに上がろうとすれば、龍之介が近づいてきて手を差し出す。
「本番もこれやる?」
「勿論。言ったでしょ?俺がをステージに引き上げるって」
「ありがとう、龍くん」
小声で言葉を交わし龍之介の手を取れば、そっとセットに引き上げられる。
「、歌手デビューおめでとう」
「ありがとうございます!」
「緊張してんのか?」
「そりゃもう!大尊敬して大好きなTRIGGERの前で歌うこと考えたら…お腹痛くなりそうです」
「あはは!大丈夫だよ。こないだ一緒に練習した時もいい感じだったし」
軽いトークを交え、は歌うためのスタンバイ。
「、サプライズしていい?」
「へ?」
「ダンス、ペアバージョンで行こうか」
「…え。え?!!」
突然の提案には目を白黒させる。
この曲のダンスは、一人で歌って踊るソロバージョンと、ダンサーを従えるグループバージョン、男性ダンサーと絡んで踊るペアバージョンの三つがある。
「俺、バックで踊って良い?」
「嘘でしょ?」
ホントです。
とスタッフも含めたその場の全員に頷かれ、は目を閉じて天を仰ぐ。
「贅沢すぎませんか神様…」
TRIGGER狂い女優、静かに大喜びである。
「じゃ、軽く合わせよっか」
「はい。よろしくお願いします」