君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第87章 87
よくよく見れば、髪は起きたままのボサボサだし、服は一応着替えたようだが、このまま仕事に行ったら間違いなく姉鷺と天から雷が落ちる。
手櫛で龍之介の髪を軽く整えれば、一緒に帰る?と問われた。
「うん、万理さんもマンション迎えに来るだろうし、荷物取ってくる」
仕事の準備だけはしてきてあったため、鞄が元自室においてあるらしい。
「みんな、ごめんね。迷惑かけて」
「週一じゃなくて週二でっちに会えたから良いって」
「いざ頼るところがここなのは嬉しいよな!」
「ま、今度は二人で仲良く来なさいよ」
そんな優しい言葉に、はありがとう、と微笑みリビングを出ていく。
「十さん、良いっすね。あんな可愛いのに振り回されて」
「うん、さすがに今日は心配で焦ったけど…俺は幸せだと思うよ。何しても可愛い」
「十さんにとって許せない事ってあるんです?」
「うーん、自分や仲間を大切にしない事と、二人にとって大切なことで嘘をつくことかな」
「なるほど。まぁ、は無いと思うけど、浮気とかは?」
「他の人を好きになったのに俺のことを好きだって嘘ついたら怒るかもしれないけど、気持ちだけはどうしようもないだろうし、怒らないかも。許せないっていうよりは寂しいってのはあるかもだけどね。俺は浮気されたとしても、の事愛してるから」
龍之介がそう言い切ったところでが荷物を持って入ってくる。
「、十さんが浮気したらどうする?」
「え!?しないよ俺!」
「龍くんが浮気…絶対やだ。相手の人どうにかしちゃうかもしんない」
どうにかしちゃうの「どうにか」が何やら恐ろしい響きに聞こえるのは気のせいだろうか。
「十さんじゃなくて、相手に向くんだな」
「浮気なら戻ってくるかもしれないもん。本気なら私にはどうしようもないから身を引くけど。で、自分のこと超磨いて、私が最高の女だったんだって後悔させる」
強ぇ。
そう思った一同だが、は小さく笑い口を開く。
「でもそれが出来るのはだーいぶ先かも。私が龍くんが大好きで堪らないから、多分沢山泣いて、もう無理って落ち込んでからじゃないと立ち直れない」
「二人で同じ事言っちゃって」
「へ?」
三月の言葉に龍之介を見上げればくすくす笑い頷かれる。