君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第84章 84
「あの部屋って…」
「の部屋。服とか鞄とかの衣裳部屋になってるけどね」
寝るのは俺のとこだから。
そう言って龍之介は冷蔵庫からビールとお茶を取り出す。
「天、お茶で良い?」
「ありがとう。…家の中でも常に一緒なわけ?」
「え?一緒に暮らしてたらそうならないかな?」
時間を合わせれば食事も一緒にとるし、二人では外にあまり出かけられないのだから、家で映画を見たりすることが多くなる。
寝室も同じなのだから当然一緒にいる時間は長くなる。
「そういうもの?」
「一緒にいるときは離れてるのトイレくらいじゃないかなぁ…」
首を傾げる龍之介に、羨ましいような何とも言えない表情をしていれば、が戻ってくる。
「お待たせ―。はい、楽にはお蕎麦!私が京都で一番好きなお蕎麦屋さんのお土産セットだよ」
「おお、サンキュ!結局京都の蕎麦屋行けなかったんだよな。明日早速食ってみるな」
「天はすっごく悩んだんだけど」
「からなら何でも嬉しいよ。…その見え隠れする物にはちょっとびっくりしてるけど」
が背に隠して持ってきたもの。
ちらりと見えるそれは、ある意味お土産の定番である。
「脇差サイズの木刀!」
「……ありがとう。いつか時代劇の役が来たら殺陣の練習で使うね」
「小学生の修学旅行かよ」
「、それ持って帰ってきたの?」
「うん!陸にもあげたらすごい喜んで、環と取り合いになってた!」
小鳥遊寮は保育園なの?というか、二本も持って帰ってきたの?
そんな天のツッコミにはくすくす笑い、もう一つの包みを取り出した。
「そっちはネタで、こっちが本物。お香だよ。いつも頑張ってる天が少しでもリラックスできるといいんだけど」
のそんな言葉に天はを見て、そして嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとう、嬉しいよ」
「良かった。さ、ご飯にしよっか!今日はねー、オムライス作ってみたの!」
早速洋食にチャレンジしたらしい。
テーブルには綺麗に卵で巻かれたオムライス。
サラダとスープも添えられ、グリルされた野菜も載っていて美味しそうである。