君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第84章 84
「ご機嫌だね、龍」
「え?そうかな」
レッスンスタジオの一室。
新曲の振り付けもそろそろ完成という所で、龍之介は天に声を掛けられる。
「うっきうきじゃねぇか。帰ってくるからか?」
「さっき、東京駅着いたって連絡来てた。もうそろそろ買い物終わって家着いてると思うんだけど」
一刻も早く帰りたくて仕方なさそうな龍之介。
ただ、ここで帰っても喜ばれるどころか怒られるのは目に見えているので頑張るしかないのである。
「あ、ラビチャ来た。天と楽もよかったらご飯どう?だって」
「早速練習台?」
「かもしれないね」
「俺は予定ないからいいけど…」
「九条さんの方に確認の連絡しとくよ」
その後、天の方もあっさりと許可を得られたようで、三人揃って龍之介の家へと仕事終わりに向かうことになった。
「インターフォン押す?」
「鍵持ってるかr…押しちゃった?」
マンションのエントランスでインターフォンを押す天に、くすくす笑いながら龍之介は応答を待つ。
『おかえり、龍くん』
「もおかえり。開けてもらえる?」
『はーい』
至極嬉しそうな声のに、龍之介の頬が思わず緩む。
ハッとしたものの、天と楽がニヤニヤしながらこちらを見ていた。
扉が開いたことを確認し、三人で部屋へ向かえば玄関が開けられた。
「おっかえ…!楽、天、いらっしゃい」
扉が開かれた瞬間、またも楽に抱き着きそうになっただが、寸前で留まる。
「ふっ、残念」
「だから我先にドア開けたわけ?発想が子供過ぎ」
「、ただいま」
「おかえりなさい、龍くん」
言い合う天と楽を見送り龍之介に駆け寄れば、頬を大きな両手で包まれ口付けられる。
「会いたかった」
「私も」
背伸びし龍之介の首に腕を回すの頬から後頭部に手を移し何度も口付ける。
「…一日離れてただけだよな」
「まさか洋画のラストシーンみたいなキス見せられると思わなかった」
これがバカップルって奴だね。
そんな天の言葉に、なるほど、と頷く楽であった。
「事務所は寄ったの?」
「うん。キャリーとか配達お願いしてたし、お土産も置いて来た。あ、天と楽にもお土産あるんだよ」
そう言ってキッチンに立っていたはパタパタと自室の方へ向かう。