君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第84章 84
「ケチャップとデミグラスどっちがいい?」
「僕ケチャップ。選べるの良いね」
「デミグラス食ってみてぇ」
「は?」
「んー、ケチャップかなぁ」
「じゃあ、俺はソースの方にする。半分こしよ」
「するっ」
それぞれ盛り付け、テーブルに置けば四人揃って手を合わせる。
「うっま」
「誰?洋食苦手って言ったの」
「、美味しい。大成功」
「やった。三人からお墨付き貰ったらこれはもう得意料理」
くすくす笑いながら頷き、は自らのオムライスを掬い龍之介に差し出す。
「龍くん、あーん」
「ん。ケチャップも美味しい。も、あーん」
「んー。お、ソースもうまいこと出来てるね。上出来」
「これも作ったの?」
「ううん、さすがに缶詰だよ。味が濃い気がしたからちょっと調整しただけ」
京都から帰ってきて、その足でスーパーに向かい、更に調理をしたに、一同感服である。
「片づけは俺がやるから、はあとゆっくりしてね」
「嬉しいけど、一緒にやった方が早く終わるよ?」
そう言って見上げてくるの瞳は早くくっ付きたいと訴えているように見える。
これは自分に都合のいいように見えているだけなのか?
いや違う。
テーブルの下のの足は既に龍之介の足に絡みつつあるからだ。
だって、気持ちは同じだ。
「じゃあ、一緒に片付けようか」
「ん」
にぱりと微笑まれ、顔を覆ってしまう。
やはりの笑顔にはめっぽう弱い。
「可愛い…なんで一晩でそんな可愛くなってるの…可愛い…」
「彼氏バカって奴か?」
「に関してはただのバカかも」
天と楽の言葉には笑いながら龍之介を見上げる。
「欲目はすごいよね」
「ううん、は誰がどう見ても世界一可愛いよ」
「まぁ、龍の世界の中で一番なんだから良いでしょ」
苦笑気味だっただが、天のその言葉に何となく合点がいったようだ。
何度か小さく頷き龍之介を見上げれば、そのままこてんと彼の肩に頭を乗せた。
「二人とも喧嘩しなさそうだね」
「だといいけどねぇ」
「今のとこ無いけどね」
天の言葉に顔を見合わせると龍之介。
その言葉は後の二人の喧嘩へのフラグだったのかもしれない。