君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第83章 83
「ん?」
『は…楽しかった?』
「うん、友達と久しぶりに会えたよ。詳しいことは後で話すから、まず寝る準備してきて。ね?」
『わかった』
こくりと頷いたであろう龍之介に小さく笑い、後でね。と声をかけてから電話を切る。
「かっわい…もしかして、天だけじゃなくて龍くんも天使なのでは?」
そんな事を言いながらは軽く伸びをしてお茶でも飲もうかとミニバーを見る。
ポットでお湯を沸かし、スマホで届いたメッセージとスケジュールをチェックしていれば龍之介から着信。
「龍くん」
『、準備出来たよ』
「ん。良かった。充電も差した?」
『うん。今日、どうだった?』
「東京出てまだ1年も経ってないのに、凄く懐かしい感じがした。でも、みんな元気だったよ。サイン20枚くらい書かされたけど」
くすくす笑いながら報告していれば、電話の向こうでもくすくすと笑う声が聞こえる。
『そっか。楽しめたみたいでよかった。困ったことは起きてない?』
「うーん、困った、と言えば困ったことは1個あった」
『大丈夫?』
「うん、私も現地につくまで知らなかったから先に伝えられなくてごめんなんだけど、友達の中に男の子もいたのね」
小学生の頃からグループで遊んでいた友人の一人だ。
先に伝えられていたメンバーの後に、遊ぼうと誰かが誘ったらしい。
『ラビチャ来てたね。その子と何かあった?』
「……ずっと好きだったって言われた」
『……そ、っか』
「ちゃんと断ったよ。好きな人がいるって」
『うん、分かってる』
分かったは分かったようだが、眠気は飛んでしまったようだ。
寝転んでいたところを起き上がったのが、気配で分かった。
「向こうも記念告白みたいなさ。ダメ元だから気にしないでって言われたんだけど……怒った?」
『ビックリはしたけど、怒ってはいないよ。でも、もし俺と付き合ってなかったら、考えた?』
「ううん。考えない。今龍くんと付き合っていなかったとしても、私は龍くんのこと好きだったと思うから」
『…』
本心である。
もし龍之介がに惹かれなくても、は龍之介に焦がれて仕方なかっただろう。
こんなに愛されていることが分かる今ですら、焦がれる部分はあるのだから。