君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第81章 81
「昨日と今日は予約のお客様を少し絞ったんや」
「通常の客数入れたところにTRIGGERが来たら大パニックですからね」
そう言いながらは龍之介たちを見、こちらを見ていた彼らと目が合えばにこりと微笑み手を振る。
「可愛い…」
「アイツなんであんな可愛いんだ」
「可愛すぎるよね」
つられるように手を振り返しながら口々に可愛いを連呼するTRIGGERに、姉鷺もちゃっかり手を振りながら苦笑である。
「あんたもやろ。がドラマに出てから、予約がひっきりなしに入るようになったんよ。大変やけど、感謝してるんよ」
「旅館にはスポンサーになって頂いてますから、少しでも恩返しできたのなら幸いです」
腕時計を気にしながら食事を進め、いつもよりペースを早く食べ終わる。
「ご馳走様でした。他に何か御用はありますか?」
「…体に気ぃ付けてな」
「はい。ありがとうございます。では、失礼します」
食器を片付け、テーブルの端に寄せては立ち上がり女将に一礼する。
そのまま龍之介たちの席へと立ち寄った。
「美味しい?」
「うん、美味しい。のだし巻き卵は、ここの味に似てるね」
「板前さんに初めて教えてもらった料理がだし巻なんだ。おかげで和食は得意だけど、洋食のレパートリー少ないから練習して増やしてくね」
「僕たちも練習台にしてよ」
「の飯美味いもんな!」
「ぜひぜひ」
くすくす笑いながらは龍之介と楽の間にしゃがみ込む。
「龍くん」
「ん?」
「私が見送りに出るとまた写真とか撮られて撮影滞っちゃうから、後で部屋の前でお見送りするね」
「まだ出発しない?」
「うん、皆が出てから出ようかなって思ってる」
「じゃあ、食べ終わってから少し時間あるから、の部屋行くね」
「ありがとう。じゃあ、先部屋戻って荷物纏めてる」
「ん」
そっと指に触れられれば、その手を軽く握り微笑む。
両隣から龍之介と楽に頭を撫でられ、嬉しそうに微笑んでは自室へと戻って行った。
「ちょっと」
「あ?」
「ん?」
「何二人だけの頭撫でてるの?」
ずるいんだけど。
むすりとした天に、顔を見合わせ苦笑する龍之介と楽。