君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第77章 77
「けれど、だからって、龍くんに手を出さないでください。大体お姉様、楽推しでしょうに」
「なっ…」
「え、そうなの?」
「楽さんが私に構う度凄い目で見てたから、そうかなーって」
龍之介の腕に抱き着き、額を擦り付けながら呟くは、臭い付けをする子猫のようだ。
姉の狼狽ぶりからするに、楽推しというのは事実のようだ。
「龍!!」
「遅いと思ったら…こんなとこで何してるの?」
そこへやって来た楽と天。
やってくるなり、二人揃っての頭を一撫でするところが可愛がっている証拠だろう。
もまた嬉しそうに笑い、撫でる手の平に頭を押し付ける所がまた可愛らしい。
「ああ、若女将とばったり会って、のこととか話してた」
「へぇ、やっぱこいつ昔からこんな感じ?」
「ええ、そうですね」
「やっぱ昔っから子犬か。…いや、子猫か?」
そう言いながらわしゃわしゃとの頭を撫でる楽に、龍之介がちらりと姉を見れば、確かに嫉妬の混ざった顔でを見ていた。
「、お風呂入った?」
「うん、部屋の入ったよ。そうだ!龍くんも楽さんもバー行ってみたいって言ってたよね?案内するよー。天も行く?」
「僕と君は未成年だから飲めないよ」
「ジュースもございますよ、お客様」
「じゃあ、一杯だけね」
あの天ですら、からの誘いをむげに断ることは無いようだ。
としてはこの場を早く立ち去りたいのだろう、姉はスルーして龍之介の手を取る。
「兎に角、はこの通り、少なくとも俺たちからは愛されてる子です。今度、を貶めるようなことを言ったりしたら、例えの家族であろうとも貴女を許しません」
「…っな」
「…龍がキレてる」
「何があったの?」
「あとで話す。天と楽さんにも聞いて欲しい」
「そう?なら行こうか」
複雑な環境を悟ったのか、天が行くよ、と皆を促す。
通り過ぎ様に龍之介が姉を見れば、彼女はをじっと見て固まっていた。