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君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】

第77章 77



「……」
「お姉様の彼氏さんたち、みんな言ってましたよ。お姉様に愛されてる気がしないって。だからって私を口説いて来たのは愚かでしたけど」
「…私の、せい…」

の言葉に、姉に沈黙が下りる。

「貴女は未来の女将として無条件に愛されてきた。愛されることが当たり前だった。でも、人を慈しんだり、思うやることはありませんでした。かと言って、私がちゃんと皆に貰った愛を返せてるかは、まだ自信無いんですけど…」
「からの気持ちは十分伝わってるよ。愛してる」
「龍くん…私も愛してる」

の頬を撫でる龍之介に嬉しそうに微笑み、は抱き着くのを必死に我慢しつつも、我慢しきれず彼の腕に抱き着く。

「私が悪いのは分かったわ。でも、貴女がお客様としてたことは何だったの?ものを貰ったり、仲良く話し込んだり…体を差し出していたんでしょう?!」
「は?」
「それなんですけど、は俺が初めてですよ」
「…っ龍く…。は、恥ずかしいからそれ…」

姉の言葉に呆れかえっていたらば、次いだ龍之介の言葉に真っ赤になる。

「え?あ、ごめん…!」
「ホントのことだからいいけど。ちなみに、お客様から受け取っていたのは、各地のお土産です。
ネタお土産みたいな感じで札束みたいなチョコレートとかありましたから、それ見て誤解されましたか?」
「え?」
「旅館という職業柄、中々旅行に行けないとお話していたら、常連のお客様がお土産を持ってきてくださるようになったんです。
差し入れとして従業員室に置いていたんですけど…あぁ、お姉様は従業員室には来ませんでしたね。下の者と馴れ合いたくない、と」

呟きながらは呆れたように言葉を続ける。

「年に一度でも、毎年いらしてくださるお客様ですよ?まさか、覚えていらっしゃらないんですか…?」
「そん、なことは」
「私を芸妓の子供だとうがった見方をしていたからそう見えてしまったようですね」

呟けば、苦笑しながら息をつく。
分かっていた。
14年間、家族として見られたことなんてなかったのだから仕方ないだろう。

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