君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第77章 77
そこには、周囲的には憤怒の形相で姉をひっぱたいたがいた。
「貴女の魔の手から十さんを救い出そうとしてただけよ」
「だからってその方法が色仕掛けですか?若女将ともあろう貴女が…恥ずかしいと思いませんか?」
「」
「ん?」
「怒っててもすっごく可愛いけど、には笑っててほしいよ、俺」
を自らに向かせ、親指で目元と頬を撫でれば、いつもの愛らしい笑顔が戻ってくる。
この笑顔を自分が引き出せていると思うと、幸せな気分になれる。
この子を守りたい。そう思えた。
「せっかくのお誘いですが、俺はしか見えないので」
「ですから、十さんは騙されてるんですっ」
「はそんな子じゃないけど、もし騙されてるなら、それでも良い。でも俺は、が真っすぐで、純粋で、一生懸命で、頑固で、気遣い屋で誰よりも努力家なのを見て知ってます。可愛くて、歌とダンスが上手くて、笑顔が魅力的なことも誰もが知ってます。
が世間に認められて愛されてるのは、がそれだけファンや周りに心を砕いているからです。は絶対に、俺を騙そうとか、世の中を、ファンを騙そうなんて考えない。そんなだから、好きになって、愛してる」
「龍くん…」
真っすぐに姉を見て、そしてに視線を移して微笑む龍之介に、は本当に嬉しそうに微笑み涙ぐむ。
「泣かせちゃった。ごめんね」
「うれし泣きだから良いの。大好き」
きゅ、と抱き着いて来るを抱きしめ、そっと頭に口付ける。
「そうやって…私の好きな人奪っていくじゃない貴方は!いつも、私が好きな人も、みんな貴女を好きになって離れていく…」
「…お姉様は、与えられる愛に応えたことはありますか?」
姉の慟哭に、は龍之介から離れ、彼の手を取りながら首を傾げ問う。
「私は龍くんが好き。天と楽さんも好き。IDOLiSH7のみんなも、マネージャーさんも、ファンのみんなも好き。だけど、好きになってもらうのが当たり前だと思ってません。愛されるには、まず自分から愛さないといけないと思うんです」