君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第76章 76
「先生困らせすぎないように」
「はぁい」
天の言葉に素直に頷く。
そんな二人は傍から見たら目の保養にしかならない。
天使と天使のタッグである。最強だ。
しかし天にやましい気持ちがないことは解り切っているものの、やたら距離が近いと天に、龍之介は気が気でない。
可愛い恋人と大切な仲間なのだから、妬いてはいけないと思いつつ、それでも止まらぬこの気持ち。
押さえきれなくなった龍之介は、の服の袖をちょいと摘まみ軽く引っ張る。
「龍くん…?」
「……」
目線ははるか上なのに、なぜ捨てられた子犬が見上げてきている感覚がするのかは謎だが、一気にそんな気分にさせられたは背伸びをして龍之介の頭を撫でる。
「どうしたの、そんな切なそうな…可愛いけど」
可愛いか?
可愛くはないよね。
何度目かの目線だけでの会話を楽と天は交わし、小さく息をつく。
今までの龍之介の強くて優しいというイメージが崩れたわけでは無いのだが、新たに見つけた一面にはまだ慣れない。
「俺、心狭いかも…」
「そんなわけないよ?大丈夫。龍くんは世界で一番素敵な心の持ち主だから」
「…」
「ヤキモチ妬いたとしたのなら、私は嬉しいだけだし」
そんな事を言いながら、は微笑み龍之介を見上げる。
途端、大きな両手のひらで顔を包まれた。
「…キスしたい」
「今は我慢」
近付く龍之介の唇に人差し指を当て、はくすくす笑いそのまま龍之介の唇を撫でる。
「さ、夕飯の撮影まであと少しですから、お部屋案内しまーす」
途端にお仕事モードに入ったに小さく笑い、龍之介はそのまま息をつく。
「俺、心狭い?」
「のことになるとね」
「アイツがそんな気にしてないんなら大丈夫じゃね?今んとこ」
でも、あんまり独占欲強いと大変だぞ、この業界。
そんな楽の言葉に、確かにと納得しながらも不安がぬぐい切れない様子の龍之介。
これからキスシーンがないわけでは無いし、が女優を続けて歳を重ねればベッドシーンだってオファーが来るだろう。
前もって知らせてくれると約束はしているが、平常心で見られる気はしない。
「愛しい分、妬いちゃいそう」
そんな龍之介の言葉に、天と楽は苦笑を浮かべるのであった。