君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第76章 76
全員風呂から上がり、同じように浴衣を正したが駆けよってくるのを迎える。
龍之介はその愛らしさにノックアウト寸前だ。
「、東京帰るの?」
「ううん。これは離脱の為のフリ。明日お墓参りして、友達と会って、明後日には帰るよ」
「そっか…。俺もお参りしたいな、のお母さん」
そう言って呟く龍之介に、は嬉しそうに微笑み、それから龍之介を見上げた。
「私もお母さんに龍くんのこと紹介したい。でも、今回はTRIGGERも予定詰まってるって姉鷺さん言ってたし、私一人で行ってくるよ」
「残念。…ん?一人?大神さんは?」
「万理さんは明日朝イチで帰るんだって。MEZZOのお仕事に付き添うって言ってた」
「…一人?」
「うん。大丈夫だよ、慣れてるところだし」
「すごく心配」
呟きながら龍之介はの頬を撫でる。
嬉しそうに龍之介の指に頬を摺り寄せながら、は龍之介を見上げくすくす笑う。
「過保護」
「地元なんだろ?」
心配している龍之介に気付いた天と楽が近寄ってきてツッコミである。
「地元でも心配なのは当たり前だよ。こんなに可愛いんだよ?」
「ふふー」
くふふ、と嬉しそうに笑いは龍之介の腕に額を摺り寄せる。
ちなみにスタッフはいるが、と龍之介はあまりに自然にいちゃつくがため、驚きは少ないようである。
「宿はずっとここ?」
「明日から駅前のビジネスホテルに宿替えするよ。いつまでもここには居たくないし」
のその言葉に小さく頷き、龍之介は再度、気を付けてね、と念を押す。
「今夜はここだから、撮影の様子見学してるね」
「そっか、は出番ないんだ」
「そういうこと。旅番組のロケ初めてだから勉強になる」
言いながら小さなメモ帳を取り出すの後ろから、天が手元を覗き込む。
みっちりと書かれたメモは収録時の注意点やコツなどが書かれており、その後も何度も見返したのであろう、訂正部分も多く会った。
「学校の勉強より熱心なんじゃない?」
「かもしれない。仕事の方はヘマしたらたくさんの人に迷惑かけちゃうから、そういう事は最低限にしたいんだ。学校の方も先生に迷惑かけちゃうからなるべくやってるけど…」