君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第72章 72
ちなみに姉鷺がスマホを頻繁に触っていると怪しまれてしまうかもしれないので、スタッフと万理が連絡を取り合っているらしい。
「私の方にも連絡きますね」
「え?誰……十くんか」
「はい」
東京駅に着いた旨が、龍之介からのラビチャで届く。
行ってらっしゃい、との言葉と共にスタンプを送れば、万理が声をかける。
「ちなみにどう?まだ一週間経ってないけど」
「今のところいい感じです。元々泊まること多かったから龍くんの生活パターンも何となくわかってますし、自分のパターンと似てるから違和感も私はあまり。龍くんは今までの自分のスペースに人が増えたわけだから、まだ戸惑う所もあるかもしれないですけど。色々話し合いをしながら帳尻合わせてる感じです」
「新婚みたいだね」
くすくす笑いながら駅に向かう。
車は取り敢えずパーキングに停め、後から事務所の人間が引き上げてくれるらしいので、駅のロッカーに鍵を預ける。
ナンバーロック式故にその番号さえ共有すれば誰でも受け取れるわけである。
「闇取引みたい」
「ヤバいものは積んでません」
くすくす笑いながら二人で売店に向かい駅弁を購入。
「…この駅弁代は…」
「経費です。明日の夜までは食事と仕事に関する者はちゃんと経費持ちだよ。が自分で払うって言ったもの以外だけどね」
がめついかもしれないが、細かく問いかける。
寮生活であったとはいえ、生活の様々な出費はそれなりにあった。
これからは食事などは折半になるが、明らかに今までより費用はかかる。
貯金ができる程度に稼ぎは出てきているが、しっかり締められるとこは締めたいのが心情だ。
の実家である旅館はスポンサーにはなっているものの、への仕送りは一切ない。
万理もその辺の事情は分かっているので、出来うる限りは経費で落としてあげたいとも思っている。
「助かります」
「ギャラとかもだいぶ入るようになってると思うけど、家賃とかは大丈夫?」
「はい。このままお仕事を続けられる限り、大丈夫です。貯金も出来てるし、龍くんに甘えてしまっているところもありますけど、何かあった時に自立できる蓄えはあります」
の言葉に、万理は一度黙ってから小さく苦笑する。