君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第69章 69
ソファに座り、二人でカップを持ち上げる。
「引っ越し急だったから、食器とかも揃えきれないままだったね」
「徐々にだね。私明日休みだし、お茶碗とか買ってこよっかな」
「…一緒に行こうか?」
「インテリアショップに二人で現れたらパニックになるよ。今日はたまたま運が良かっただけなんだから」
苦笑交じりに呟くに、そうだよねぇ、とがっかりと肩を落とす龍之介。
そんな龍之介に微笑み、は彼の頬をそっとつついた。
「龍くん」
「ん?」
「マグカップ、お揃いの買ってきていい?」
「…うん、うん!勿論!お茶碗もお箸も一緒にしよ?」
「いいの?じゃあ、明日選んできていい?」
「勿論。楽しみにしてるね」
翌日、龍之介は昼から夜まで仕事である。
さらに言えば夜は生放送で歌番組だ。
は休みだが、放送までには家に帰ろうと心に誓っている。
「龍くん自分が出る番組録画してる?」
「うん、一応ね。でも最近の出る番組ばっかり見てる」
「え、照れる…でも私も龍くんが出るのは録画して更にディスクに焼いてる」
「俺、愛され過ぎじゃない?」
「愛してます。世界一愛してる」
カップをテーブルに置き、龍之介の持つカップもそっと持ち上げてテーブルに置けば、は龍之介の膝に乗り口付ける。
「同棲初夜はここでするの?」
「ここでもベッドでもするの」
「じゃあ、お風呂でもの部屋でもしよ?」
「私の部屋…視線が気になっちゃうかも」
「…じゃあ、後ろ向いてもらおう」
「ポスターも裏返さなきゃ」
くすくす笑いながら会話の合間に口付けを交わす。
「そーだ。週明け直ぐ京都だよね」
「うん。お土産何がいい?」
「龍くんが無事に帰ってくるなら何にもいらない。出身だし」
「それもそうだ」
予定上は、は来月に京都に行くことになっている。
更に龍之介に秘密の予定では龍之介が京都へ旅立った翌日にはと京都で再会することになっているのだ。
龍之介を見送ったらも追いかけるように京都へ向かい、現地で打合せがある。
寂しがる暇もないが、やはり寂しい。
「明々後日には京都行っちゃうんだもんね」
「そうだね」
「明々後日の朝は東京駅から撮影なんでしょ?寝不足の顔で行かないようにしないとね」