君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第68章 68
「ビールはー?」
「入れた」
「餃子の皮!」
「入ってる」
「おつまみのチーズっ」
「え、いつ入れたの?」
「私が食べたかったからいれた」
年齢的に酒など一滴も飲めないくせに、酒の当て、つまみになるものが大好きなであった。
「買い忘れなさそうだね」
「あ、紅茶切れてるから買っていこ?」
「龍くんコーヒー派でしょ?」
「は紅茶好きでしょ?台本覚えるときのお供は紅茶って言ってたよ」
さりげない、他愛ない会話だったはずなのに、しっかりと覚えてくれていた龍之介に、今度はが目を覆う。
「はー……愛しすぎて困る…好きすぎる…」
「俺も愛してるよ」
くすくす笑いながら紅茶のコーナーへ向かい、並ぶ銘柄を眺める。
「が好きなの、これでしょ」
「超大正解!」
嬉しそうに微笑むの頭をそっと撫で、今度こそ買い忘れはないね、とレジへ向かう。
夕方の買い物ピーク時の為他に客は多いが、目立ちはしているものの二人を注視しているものは少ない。
例え待っているの腰に龍之介の腕が周り、の頭に顎を乗せている姿だったとしても。
「目立ちますよ、龍くん」
「の事世界中に自慢したいくらいだから良いよ」
「ふーむ。これでファンが怒ったら、龍くん天に怒られそう」
「う…」
「天が怒るとこまだ見たこと無いけど、怖いんだろうなぁ…」
「…うぅ」
の言葉にすっと離れる所を見ると、どうやら相当恐ろしいらしい。
会計を済ませ袋詰めし二人は駐車場に停めてある龍之介の車に乗り込む。
「助手席に早く座って欲しいよ」
「ふふ、この斜め後ろからの龍くんも超カッコイイよ」
「嬉しいけど照れるなぁ」
そんな会話を交わしながら、二人はマンションに無事到着。
辺りを見回すが、人影はない。
「みじん切りがちょっと大変だけどね、餃子」
「みじん切りできるやつ買う?」
「今日大変だったら考える」
くすくす笑いながらは龍之介の腕に自らの腕を絡める。
すると龍之介はが肩にかけていた荷物をそっと取り、自らの肩にかける。
「そんな重くないのに」
「は強い子だけど、こういう力仕事くらい俺に任せてくれたらいいの。小さなことでも筋トレになるし、寧ろやらせて?」