君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第68章 68
「何しよっかなぁ…二人で作る…あ、餃子とかいいかも。包むの大好き」
カゴを片手に一人野菜コーナーを見回る。
いざメニューが決まればそこからは割と早い。
「キャベツ、ニラ、ショウガ、ニンニク、ピーマン…」
「餃子にピーマン?」
「意外と美味しいんだ…よ…え、りゅ」
「しー。見つかっちゃう」
後ろから聞こえた声に答え、一瞬後に首を傾げて振り返れば愛しの龍之介の姿。
思わず声を上げそうになったの口元に人差し指を当てるも、変装しているとはいえ身長190の男が見つからないわけがない。
「バレバレだよ」
「そうかも。じゃあもう堂々としてる?」
こうなってしまえばもう隠しても意味はない。
幸い周りに記者のような出で立ちや動作をしている者はいない。
ならば、とはくすくす笑いながらそっとカゴを受け取る龍之介の反対の手を繋ぐ。
それでも一応マスクを大きく広げて顔を隠した。
「子供が嫌いな野菜を詰め込むと、案外食べてくれるらしいよ」
「そうなんだ。今度やってみようね」
「まだ宿しておりません…」
お互いを見合い、笑い合いながら食材を選んでいく二人はざわつく周りの声など気にもしていない。
余りの自然な雰囲気に、いずれ周りも己の目的を果たすべく買い物に戻り始めた。
そもそも、このスーパーは様々な芸能人が訪れることが密かに知られている場所だ。
常連客からしたら芸能人などそれほど珍しくもない。
「そうだ。荷物ありがとね」
「ホントに荷物あれだけでよかった?随分少ないように見えたけど」
「もともと私服も少ないし、あんまり買い物とかしてなかったから……TRIGGERグッズの方が服より多かったかもしれない」
「うん。多かった」
「すみません…」
苦笑しながら呟き、は龍之介を見上げる。
「俺がいるのにグッズ持ってきたんだ?」
「それ大和さんにも言われたなぁ…。私が愛してる龍くんは十龍之介だもん。TRIGGERと、TRIGGERの龍は別のベクトルで愛してるんだもん」
「何その可愛いの…」
の言葉に龍之介は片手で目を覆い、の肩を抱き寄せる。
「愛してるよ」
「俺も愛してる。ささっと買い物済ませて帰ろっか」
テキパキと買うものをカゴに入れ、二人でカゴの中身を見ながら通路の端で確認。