君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第67章 67
の名前を一時的にでも落としたことに、小鳥遊はお怒りだったらしい。
「主演の琴石さんも事務所NG出てるみたいで、代役立てるか脚本変えるかって話なんだ」
「なるほど。私はどちらでも頑張るだけなので」
どうやら役者たちにどちらが良いのか聞いて回っている様である。
代役が見つからなければ脚本が変わるが、脚本家も出演者たちも負担が増える。
「どちらかと言えば、代役が見つかった方がありがたいですね」
「そうだね。脚本変わる可能性も覚悟しといてもらえると」
「はい。大丈夫です!」
微笑み頷くに礼を言い、監督はその場を去って目についた出演者へと走り寄っていく。
「代役見つかるに王様プリン三個」
「何故ですか?」
「鳳さんの後釜にはまれば、イケメン俳優の名をほしいままにして人気俳優になれるから」
「なるほど…」
の予想に紡も頷き、その後も順調に撮影を終えたは紡と共に車に乗り込み次の打ち合わせへ向かう。
「何のCMだっけ…」
日々目の前の仕事に全力投球のは、ギリギリ直前で資料に目を通すことも多い。
万理や紡がしっかりと仕事内容を精査してくれているため、にできない仕事を持ってくることは無いが、もう少し余裕をもって仕事に向き合いたいのも事実である。
「新作のチョコレートですね。春季限定のもので、評判が良ければ数年に渡って出演をお願いしたいと仰ってくれています」
「ありがたいねぇ…チョコレートかぁ」
「ちゃん甘いものは…」
「好きだよ。あんまり食べないけど」
確かに甘いものを食べる姿はあまり見ていない。
環と共にプリンを食べるくらいだ。
体型維持のための努力かと思えば、曰くそうでもないらしい。
「甘いもの食べる習慣がないんだよね。差し入れとかで頂いたものは有り難く頂いてるし……好きな方だよ」
「良かった。CMは何テイクも撮りますから、食べる量も自然と多くなっちゃうので」
「覚悟しとく」
くすくす笑いながら頷き、打ち合わせ場所のカフェへ。
「撮影日は来月。是非シリーズ化して行けたらと思っていますので、よろしくお願いいたします」
「こちらこそ、ご期待に添えるよう誠心誠意頑張ります!」
にこりと微笑みながら握手を交わし、打ち合わせを終えることが出来た。