君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第65章 65
「青春ラブストーリー。今度は女子高生の役だよ」
「ちなみにお相手は…?」
「そっちも完全にオーディションで決めるみたいだよ。だから、うちから主演には陸くん、一織くん、環くんにオーディションに出てもらおうと思ってる」
続いた言葉に頷きかけ、は首を傾げる。
「…もし、どっちも小鳥遊事務所が取ったらすごいことになりますね」
「特選幕の内だね」
何でもかんでも弁当に例えたがる万理に小さく笑いながら頷く。
「三段特選幕の内になれるように、頑張りますね。オーディション」
「やる気になってくれて嬉しいよ。これ、原作ね」
「?げんさく…?」
「そう。大人気少女漫画の実写版」
「はー。だからか。だから一織と環と陸なんだ。アイドル主人公か」
ドン、と数冊の漫画が積まれ、納得である。
「私、明らかにヒロイン顔じゃな…」
「いいや、は二次元実写にも通用するから大丈夫」
「まぁ…それは制作陣が決めることだからあれですけど…。期待はしないで下さいよ?」
苦笑するに、期待はするさ。と笑いながら万理は仕事の説明を続けて行く。
「さて、こんなもんかな。からは何かある?」
「正直、寮からの引っ越しを考えています」
「なるほど」
言うと思った、とでもいうような万理の反応に、もこくりと頷く。
「今回の報道に関しては鎮火も早くて記者も集まりにくくはなってくるとは思うんですけど…龍くんと付き合ってる以上、こう言う記者はずっとついて来ると思うんです」
「うちの寮はセキュリティも低いしね」
一人になる時もあると考えれば、心配な部分はある。
「よし、早速社長と話そうか」
「社長、今大丈夫なんですか?」
「大丈夫だよ」
後ろから声が聞こえ驚き振り返れば、そこには小鳥遊音晴の姿。
「社長!」
「私もいますよ、ちゃん」
「紡ちゃん!そうだ、ちゃんと紡ちゃんに話したいと思ってたんだ」
そして紡の姿も見えは立ち上がる。
「引っ越しの事ですか?」
「引っ越しに伴うもう一個の事実と言いますか…十さんとのこと」
軽く首を傾げる紡に苦笑し、は口を開く。