君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第65章 65
放課後。
は今後の打ち合わせのため事務所へ直行。
幸い何時間も待とうという気の長い記者は少数だったようで、足止めを食らう事なく帰路につくことが出来た。
「、お疲れ様」
「お疲れ様です、万理さん」
「よし、何飲む?紅茶?」
「はい!ありがとうございます!」
会議室に案内され飲み物を出されれば、万理がスケジュールを開く。
「この通り、来月からは少しペースダウンをしてゆったり目のスケジュールに変更できたよ。一点集中で何日か纏めての撮影はちょくちょく入ることになるけどね」
「はい。あれ…この京都って、前お願いした休みですか?五日間ありますけど…」
「うん、これは休みと仕事両方で五日間の日程を取ったんだ」
万理の言葉に頷きながら、は見せられたスケジュールを書き写していく。
そこでふと、ペンを止めた。
「TRIGGERの旅番組収録の日程と一緒じゃないですか…?」
龍之介から聞いた、地方撮影の日にちと完全にかぶっているのだ。
そんなに、さすが、と頷きながら万理は口を開く。
「これは十くんにも黙っててほしいんだけど、彼らには二泊目の宿として、旅館に宿泊してもらおうと思ってるんだ」
「え?!」
「そこに、が従業員に扮装して出迎える、ドッキリを仕掛けようって、その番組のプロデューサーから話が来たんだよ」
近頃のと龍之介が共演したものはほぼ大ヒットしている。
最初のドラマはもちろん、番宣の番組出演も、アンバサダーとして撮影を行った海外ブランドの広告も、まだ世間に公表されておらず内内ではあるが、業界内では大評判らしい。
更に今回の報道で注目度が上がっている二人。
ならば、どこかで乗っかってこの二人のツーショットを撮っておきたいと、オファーが絶えないというのだ。
「なるほど、口滑らさないようにしないと…」
「打合せとか完全にバレない様に別々で行うから、絶対十くんや他に漏らさないように気を付けてね」
「はーい」
「あとは、これはスタートが半年先の事なんだけど」
「?」
「映画、主演のオーディション受けてみない?」
「…主演…映画の?主演?!私が?!!」
驚き目を見開くに、万理はこくりと頷く。