君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第64章 64
「そんな顔しないでよ、環、一生会えなくなるわけじゃないんだし。むしろ同じ世界で生きてるんだからさ?」
「そーだけどっ!俺たち、兄妹みたいだったじゃん。離れんの、やだよ」
「兄妹みたいってなら、尚更離れたって絆は切れないと思うけどなぁ。私と環は特に仲いいし」
多分、IDOLiSH7のメンバーの中で一番ウマが合うのが環である。
歳が同じこともあるが、ストレートに様々な感情をぶつけてくる環とは話しやすく、また同じようにストレートに感情表現するを一番自然に受け止めてくれているのも環である。
「そうだけどさぁ…」
「もし引っ越したとしても、寮には顔出すから」
週一くらいで、と付け足すに、週三!!と答える環。
半分じゃん、と笑うに、引っ越す意味あるんですか?とあきれ顔の一織。
三人肩を並べて学校に近づけば、校門の前にも記者の姿。
「あれ私狙いだと思う?」
「だろーなー」
「でしょうね。裏門回りますか?」
「裏も張ってると思うから、正面突破しよう」
回り込む時間も惜しい。
寮の前ほど記者も多くないから、かき分けるのもそこまで時間は食わないだろう。
そんな判断を下し、相変わらず他愛ない話をしながら門へ向かう。
「さん!十龍之介さんとのご関係を教えてください!」
「仲良くさせてもらってます」
「それはお付き合いをしているという事ですか?」
「どのお付き合いかはわかりませんが、良くして頂いてます。あまり学校の前にいらっしゃると警察の方をお呼びしてしまうらしいので、皆様どうかお引き取り下さい」
にこりと微笑み記者の質問を躱しながら微妙な脅しを入れれば、再度微笑み一礼してからは校門をくぐる。
『警察』の一言に記者たちはをある程度写真に収めてから、そそくさとその場を去った。
「おはよー」
「あよー」
「おはようございます」
教室に入れば、アンタらも記者か?と言わんばかりにクラスメイト達が押し寄せてくる。
「どっち?!」
「何が!?」
「十さんと鳳さん!どっちと付き合ってるの?!」
「十さんとは共演多いし仲良くしてもらってるけど、鳳さんとはガチでなんもないよ」
何とも微妙な言い回しだが、取り敢えずクラスメイトは納得してくれたのか、それ以上の質問は日常会話へと移っていった。