君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第63章 63
「棚も分けてるんだ」
「そうだね。私はあんまり気にしないんだけど、洗剤違ったりとかもするから。基本的に自分のものは自分で管理だよ」
棚に書いてある名前を見ながら呟く龍之介に、も同じように見渡しながら頷く。
「歯ブラシ新しいのあったかなー…あ、あった。ピンクだけどいい?」
「ありがとう。今度買って返すね」
「龍くんちにあるのは龍くんが用意してくれた奴だからこれのお返しはいらないよ」
くすくす笑いながら歯ブラシと洗顔剤を手渡し、は先に戻ってご飯の準備してるね、と軽く手を振りながら洗面所を出ていく。
を見送り顔を洗って歯を磨き始めれば、大和が入って来た。
「おはようございます、十さん」
「おあよ」
歯を磨きながらも返事する龍之介に苦笑しながら、大和は隣に立ち顔を洗う。
「そういえば、夜は随分楽しんでたみたいで?」
ぶっっっっ!!!!
大和の言葉に龍之介はすすごうと含んだ水を思いっきり吹き出す。が、ちゃんと溢さないようには頑張った。
「ごほっ…大和く…なん、で」
「いや、夜トイレ行きたくなって起きたら…ねぇ?」
「…あー」
一応声が出ないようにお互い気を付けてはいたが、完全に音を出さないのは無理な話である。
「なんか…ごめんね」
「いーえ。聞いたのが俺だけでよかったですよ」
呟きながら大和は龍之介を見る。
「ただ、もしかしたらは早いとこ寮から出た方がいいかもしんないっすね」
「え?」
「男所帯の中に女一人で全員仲良くってのは、そろそろ破綻すると思うんすよ。十さんがに惚れられて、こうしていちゃついてるけど、アイツを狙ってるの、多分うちの中にもいますよ」
その言葉に、龍之介はそうだね、と頷く。
昨日のやり取りで、IDOLiSH7の中のメンバーのほとんど、いや全員が明確にに好意を持っているだろうとみて取れた。
勿論恋愛感情だけではなく、あくまでも友情の場合もあるだろうが、それ以上の想いを抱えているであろうことも感じた。
あくまでも事務所の後輩、同年代の仲間という意識が働いているから今までトラブルが起きなかっただけ。