君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第59章 59
「しかしさん。君は今日スキャンダルが出たばかりだろう」
「はい。確かに私の名前は出ていますが、写真の人物は私ではありません」
「証拠は?」
「あの写真が撮られたのは二週間前の午後八時頃。その時私は雑誌の撮影をしていました。場所も、写真の場所からは一時間ほどかかる場所です。そのことも添えて、週刊誌に抗議しましたので、訂正と謝罪の記事も出るかと思います」
「そうか」
の言葉にこくりと頷き、八乙女は腕を組んでデスクチェアに深く座り込む。
「…いつまで隠すつもりだ?」
「結婚するまでです。時期は未定なので、隠す期間も決まっていません」
「…明日には鳳との熱愛報道は消えて、お前達の熱愛疑惑が出るだろうことは予想できる。今日だけでも報道番組でお前が手を引いて走っていく様をこぞって流していたからな」
既にもう今朝の事は知れ渡っているらしい。
なるほどと頷き、は龍之介を見上げる。
「巻き込んで、ごめんなさい」
「のせいじゃないよ。俺がしたくてしたんだから」
「まぁ、この騒動はすぐに鎮火するとは思うが」
八乙女の言葉には首を傾げる。
「この報道で龍之介が出てきたことで、お前たちの方が似合いだという論調が出てきているんだ。それに炙られる形で、鳳響也のこれまでの女性遍歴が出てきている。その中には大物の妻やら社長令嬢やらなんやらと叩けばホコリが出てくる相手も多そうでな」
「なるほど。よりスキャンダラスな方が視聴者は喜びそうです」
「そうだ。しばらくはお前たちにも記者はつくだろうが、大人しくしていればいずれ落ち着く」
「…TRIGGERの活動に影響は出ませんか?」
「そんなやわなグループにしたつもりはない」
「…さすが八乙女社長。かっこいいです」
八乙女の返答に、はにこりと微笑む。
やはりと言えばいいのか、八乙女はぴたりと動きを止め、に魅入る。そしてハッとして眼鏡をかちゃりと掛けなおした。
「うっそ…あの社長まで…」
「改めて、すごいな、…」
感心する姉鷺と万理に苦笑しつつ、龍之介は八乙女を見る。