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君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】

第59章 59




「社長、俺たちの交際、認めてください」
「…ここで別れろと言って別れるほど、浅い気持ちでないだろうことは分かっている」

八乙女の言葉に、龍之介はこくりと頷き真っすぐ八乙女を見る。

「元より、反対する気は無い」
「八乙女社長…」
「本当にいいんですね?」
「お前が意外に頑固なことは知っている。姉鷺、お前もだからこそ敢えて認めたんだろ?」
「はい。反対しても、二人を引き裂けないのは見て取れました。それならば、二人に最大限注意を払ってもらって、交際を認めた方がいいと判断しました」
「俺もその意見には賛成だ。幸い、写真を撮られようが交際報道が出ようが、世間は好意的に見るだろうという予想も立つ」

そこは確かにそうである。
二人が並んでテレビに出れば「付き合っていて欲しい」という声が少なからず上がる。
実際、朝の龍之介との映像を見ても、確かに否定的な意見も上がってはいるが「愛の逃避行」「お似合いすぎる」「この二人ホント最高」などの声が上がり、否定派の意見がしぼんでいくという現象まで起きていた。

「お前たち二人揃ってのオファーも多い。別れさせてそのオファーが立ち消えるのも痛手だ」
「では…」
「二人の交際は認める。だが、今後出る熱愛疑惑などには肯定も否定もするな」
「肯定も否定も…?」
「お互い思い合っているような、でも付き合っていない、そんな雰囲気を出してみたらってことよ」

八乙女の言葉を補足するように、姉鷺が口を開く。

「お互い好き合ってるなら早くくっ付けばいいじゃない。そう世間に思わせればいいってことよ。そうすれば、いざ交際報道って出た時に祝福を受けやすい」
「そういう事だ」
「…じゃあ、次からは龍くんのことべた褒めしていいってことですか?」

それもうやってんじゃん。
とは誰も言わないが、代わりに頷いて返事する。

「わかりました。八乙女社長、私たちの交際を認めていただき有り難うございます。TRIGGER、八乙女プロダクションにご迷惑をおかけするようなことはしないと誓います」
「頼んだ」
「ありがとうございます、社長!」
「ああ、だが認めたとはいえくれぐれも気を付けてくれ」

はい!と二人で返事をし、社長室を出る。
安心したのかは少々涙目だ。
そんなの頬を撫で、龍之介もまた安堵の息をつくのであった。

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