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君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】

第58章 58




「いや、親父ならやりかねねぇ…のこと気にしてる風なとこはあったけどな」
「確かに…でも一緒に仕事をする上で気を付けろとかは言われてないから気に入ってる側の気にしてる風ではあったけど」

楽と天の言葉には軽く首を傾げる。

「でも、龍か芸能界かどっちか取れとか言いそうじゃね?」
「そんな事言われたら、はどうするの?」
「事務所に迷惑かけない程度に活動させてもらってから、引退します」
「マジかよ」
「、俺はそんなの望まないよ。この仕事、大好きでしょ?」
「が引退したら芸能界の大損失だよ…」
「ありがとうございます、万理さん、龍くんも。この仕事大好きだよ。でも、芸能界じゃなくても演技は出来る。歌おうと思ったら歌える」

恋する乙女は強い。
自分の生きる道を見つけた女も強い。

「大丈夫。八乙女社長は楽さんのお父さんだもん。話せばちゃんとわかってくれる」
「俺、アイツとは似てねぇけどな」
「お顔は似てますよ?」
「…やめてくれ…」

楽の項垂れ具合にくすくすと笑い、は小さく頷く。

「引退するとは言ったけど、私は、龍くんの事も、自分の仕事も、絶対に取りこぼしたくない。だから、八乙女社長からお許しがいただけるまで、何度でもお願いするし、話し合いを求めます」

そんなに一同「つ、つよい…」と若干戦き、ロケバスは最初の集合場所となったスタジオへと向かうのであった。

「お疲れ様でした」
「お疲れ様でした!」

スタッフは後片付けがあるが、演者は準備さえ終えてしまえば帰宅である。
が、この日は龍之介と、万理は姉鷺に連れられて八乙女事務所へ直行である。
天と楽も心配なのかついていこうかと声をかけたが、さすがにそこまで付き合わせるのも申し訳ないと遠慮する。

「なんかあったら呼べよ」
「うん!ありがとう、楽」
「、絶対引退とか選ばないでよ」
「頑張るよ、天」

まるで戦地に赴く兵を見送るような天と楽に、も龍之介も微笑み頷く。
龍之介は自身の車の運転を姉鷺に頼み、と二人で後部座席に乗り込む。

「、少し寝ておきな?」
「うん…」
「昨日寝てないの?」
「しっかり八時間睡眠してます」

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