君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第56章 56
「天?」
「誕生日、おめでとう」
「わぁ、ありがとう!…ね、開けていい?」
「もちろん。あ、でも…」
言いながら天が箱を手に取り、上下にパカ、と開けばは驚いたように天を見る。
そこには小さな石の付いた細身の指輪が収まっていた。
「これ…」
「…僕と、ずっと一緒に居て欲しい」
「天…」
「、愛してる。僕と結婚してください」
「…はいっ」
嬉しそうに微笑みながら涙を溜め、は頷く。
そこでカットがかかり、にティッシュが渡される。
「大丈夫です。引っ込みました」
「早!出し入れ自由過ぎ」
メイクに笑われながら目元のメイクを直され、もまたくすくす笑う。
「実際自分が本当にプロポーズされたらめっちゃ泣きそうですけどね」
「あはは!何年後かは大号泣かー」
直しが終わり礼を言ってから、再度船首のデッキに戻る。
そこには休憩中の天と、龍之介と楽の姿。
「」
「龍くん」
いち早くに気付いた龍之介に歩みより、怪しまれない程度の近さまで近づく。
「ん?、その指輪…」
「あとでアップで撮るから付けといてって言われたの」
「左手じゃないんだ?」
「うん、右で良いって。婚約指輪は右にする人もいるからって」
「そっか」
「何安心してるの?龍」
天の言葉に龍之介はそちらを見て苦笑する。
「今、中指だからさ。に着けてもらってるの。出来たら…俺があげる指輪を一番最初にここに着けて欲しいなって…女々しいね、俺」
「そんな事ないよ?」
「そう?」
「うん。ね、龍くん」
「ん?」
の呼びかけに龍之介がそちらを見れば、龍之介の肩に手を置き、は背伸びし耳元へ唇を寄せる。
『大好きだよ』
耳元でそう囁かれ、龍之介はあっという間に真っ赤になってしまう。
「…好き…俺も好き」
「こっそり言った意味ないじゃんー」
「ごめん。なんで抱き締められないんだろう…」
「対岸に記者さんが団子になってるからだね」
苦笑するに龍之介もこくりと頷きクルーザーの停泊している対岸を見る。
近くから撮影は出来ないため、遠くからわざわざの姿を見ている様だ。