君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第56章 56
船首に立ち、外の景色を楽しそうに眺める。
そんなの肩に後ろからショールをかける天。
「こんなに早く言うと思わなかった。はしゃぎすぎ」
「船楽しいんだもん。ねぇ、天」
「なぁに?」
「すごく楽しい。連れてきてくれてありがとう」
「君が喜ぶためなら何でもするよ」
嬉しそうに笑うに天も微笑み、そのままの手を取り繋ぐ。
「ごはん何時?」
「あとちょっと。それまでここに居るの?」
「うん。外見てたい」
の言葉に天は頷き、繋いだ手を変え、手すりに掴まり景色を眺めるを後ろから抱き締める。
「いつかの映画みたい」
「あったね、こういうの。でも、暖かいでしょ?」
「天が寒そう」
「君が暖かければ僕も暖まる」
「ん、そっか」
天の言葉にくすりと笑い、がそのまま天の胸にすり寄ったところでカットがかかる。
「オッケー!」
「二人とも天使ー!」
「すっごい可愛い!」
「「ありがとうございます」」
声をそろえ微笑む二人に、ほう、と感嘆のため息のスタッフたち。
現代の天使と人気女優は伊達じゃない。
「次は食事シーンですね」
「はい」
「そんなに長いシーンではありませんが、楽しそうにおいしそうにお願いします」
「わかりました」
船内へ移動し、指定された席に着けばフルコースのディナーが並べられている。
「おー。すでに美味しそう」
「テーブルマナーは覚えてる?」
「予習実践復習やってきました!」
そもそも老舗旅館の娘だ。
どこに出しても恥ずかしくない様に、と最低限の食事マナーは叩き込まれている。
そんな簡単に忘れるものでもないが、復習くらいは、ときちんと学びなおしてきた。
「さすがだね」
「ありがとうございます」
くすくすと笑う天にも微笑めば、そろそろスタートすると声が掛けられる。
「では行きます。よー、いスタート!」
スタートがかかり、二人は軽く会話を交わしながら食べ進める。
「」
「ん?」
何度かカットをかけ、その度に食事を減らしていき、デザートの直前とでも言うようにテーブルが片付いてから再スタート。
天がに声をかけ、がそちらを見れば天は小さな箱を取り出した。