君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第55章 55
「大きな仕事…ですか」
「体調整えたり、気持ち切り替えなきゃでしょ?は割とスイッチ入れば切り替えも早いけど」
「うーん、はい」
小さく頷き、は改めてスケジュール帳を見る。
月で見れば丸一日の休みは三日ほどしかない。
半日の休みなどはあるが、それは学校に行くためで体は実際そんなに休めていない。
龍之介と会えばしっかりと食事と睡眠をとらせてもらっているから、大きく体調を崩すことは無いが、このままでは体を壊してしまうかもしれない危機感は確かにある。
「でも今は売り出しておきたい。顔と名前を覚えてもらいたい時期です」
「うん。あと一、二ヵ月はね、予定も入っちゃってるから踏ん張ってもらって、撮ったのも一気に流れるわけじゃないし、半年くらいはずっとの顔がテレビに流れると思うよ」
「はい」
「その後はペース落として、緩急つけてやっていこう」
「ん。わかりました」
こくりと頷き、万理を見上げれば頷き返される。
丁度いいタイミングでバスが停まり、撮影個所に着いたらしい。
「さ、今日も残り少し。頑張って」
「はい!行ってきます!」
席から立てば差し出される大きな手のひら。
見上げれば、龍之介が微笑んでいた。
「エスコートしますよ、お姫様」
「ありがとう、王子様?」
くすくす笑いながら龍之介のエスコートでバスを降りれば、準備時から何か撮影があることに気付い一般人が集まっていた。
「さっき、万理さんと話してて気づいたんだけど」
「うん?」
「私、龍くんの隣だとよく眠れるんだ」
「そうなの?」
「うん。一晩はもちろん、例えば一時間だけ、十五分だけのお昼寝とかでもね?龍くんと居たらすごく疲れが取れて、元気になれる。なんでかわかんないけど…安心するのかな?」
「そっか…もなんだ」
「も」と言われ、龍之介を見上げれば、納得と言った様子の龍之介の姿。
「俺も、凄く疲れててしんどくても、と寝た後はすごくすっきりしてるし元気なんだ」
「…龍くんも…」
「うん。俺も…安心するのかな。が傍に居るのが」
「ずっと一緒に寝れたら…いいのになぁ…」
「うん、そうだね。…うん」
の呟きに何かを考え始めた様子の龍之介。
首を傾げて見上げてみれば、また後で話すね、と微笑まれた。