君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第55章 55
「さ、頑張ろ」
「はーい」
「頑張るのは僕と。龍は見学でしょ」
「そうだった」
後ろから天に突っ込まれ、龍之介は苦笑交じりに頷く。
場所はヨットハーバー。
数々のクルーザーが停泊する中、ひときわ大きいクルーザーが目に入る。
周りに遮蔽物がなく、撮影の邪魔にならないような場所に繋がれたクルーザーが今回の撮影場所だ。
「おー…」
「こっちから乗るみたいだよ」
桟橋から渡り板が駆けられ、スタッフが乗り込みの補助に立つ。
「スカート…汚さないように乗らなきゃ…!」
等とスカートの裾を抑えながら呟いていれば、ふわりと浮き上がる身体。
「十さん!危ないですよ!」
「ちゃん軽いし、大丈夫ですよ。、掴まって?」
「あ、ありがとう」
を横抱きに抱き上げ、龍之介はひょいひょいと渡り板を渡って船に乗り込む。
その様は実に軽やかで、周りは呆気とするかうっとりとして二人を見守っていた。
「龍、記者がいるんだからちょっと控えなさい」
「あ、すみません…でもが怪我したり落ちたらどうしようって思ったら…」
「あんたの中でちゃんどれだけどんくさいのよ」
「どんくさい…」
「そんなおっちょこちょいじゃないですけど、は俺のお姫様なので」
真顔でそんな事言わんといてくれいっ!
と、真っ赤になり心中叫ぶであった。
「ありがと、龍くん」
「どう致しまして。撮影頑張っておいで」
ちゃんと見守ってるからね。
龍之介の言葉ににっこり微笑むに可愛い…と悶絶し、龍之介は姉鷺に寄りその場を退場させられたのであった。
そんな龍之介を苦笑交じりに見送れば、傍に立つ天を見上げる。
「天、よろしくお願いします」
「うん、よろしく。期待してるよ」
「その期待に、しっかり応えて見せるね」
の言葉に、天も満足げに頷く。
MV撮影、最後の撮影スタートである。