君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第53章 53
「ファンの心配してくれてありがとう。だけど、君がもし龍の恋人ではなく一ファンだった時に、龍がこういう事したらどう思う?」
「さすが龍って思う…」
「だから大丈夫。一部にはそう思わない子もいるだろうけど、大半はそう思ってくれるから」
天の言葉には小さく頷く。
「ほら、今日は先にドレスだから時間かかるんでしょ?準備始めよう」
「うん。ありがとう、天」
「礼を言われるようなことはしてないと思うけど、どう致しまして」
陸だったらここは素直に、うん!と答えるだろうに、などと思いながらも、は微笑み頷き準備へと入った。
「ちゃんおはよ!大変だったねー!」
「本当に…テレビつけた瞬間、誰だよ?!ってなりました」
楽屋に入り、スタイリストに声を掛けられは苦笑交じりに答える。
「背格好は似てたけど、ちゃんじゃないことは解った」
「三田さんならわかってくれると思ってました!」
くすくす笑いながら、は着替えを始める。
先に楽のソロ曲のラストシーン。
結婚式のシーンであるために、ここは結婚式場だ。
「結婚前にウェディングドレス着ると結婚遅くなるって言いますよね。まぁ、今更だけど」
「ほぼ迷信だけど…そうだねぇ…っていうか結婚願望あるんだ?」
「それなりには!」
「彼氏いそうだもんね。ちゃん」
「んっぐ」
三田の言葉に口に含んだ水を吹き出しかける。
「さすがに相手はわかんないけど、いるでしょ?」
「うぃ…なんで分かるんですか…」
「決定的だったのは指輪かな。ちゃんあんまりアクセサリー付けないのに、いつも着けるようになってたから」
「なるほどぉ…」
今も装着したままの指輪を見て頷き、納得の様子。
その間にもドレスは着々と着付けられている。
「うーん、可愛い」
「ありがとうございます」
衣装を着て、ヘアメイクが終わればベールをかぶり、うんうんと頷かれる。
そこへノックの音。返事をすれば入ってきたのはなぜかタキシード姿の龍之介。
「あれ、十さんどうしたの?」
「今日来る予定だった相手役の人来れなくなったらしくて、急遽俺が代わりに……、綺麗だね」
「はぁぁ…かっっっっっこいい……」