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君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】

第51章 51




「そういえばこの間、旅館のホームページ見てみたんだ」
「そうなの?」
「うん、すっごく大きな旅館なんだね。館内に川作って鯉泳がせてるの凄かった」
「ねー。でも鯉が泳ぎ出したの五年位前かな。大改修して」

呟きながらふとも旅館を検索してみる。
今まで見たことがなかったが、専門のウェブデザイナーでも雇っているのか、何とも凝った造りのサイトである。

「特に表立って旅館の娘って言ってるわけじゃないけど、CMとかで旅館流れてるしね。もしや?って噂されてるって話も聞いたなぁ。あ、はい。これお父様で、こっちがお母様。で、姉」

スタッフ紹介のページを開き、龍之介に見せながら両親と姉を指さす。
父は取締役としてスーツ姿、母は女将、姉は若女将として客をもてなしているために、着物姿である。

「お父さんには似てるとこあるけど…」
「私、お母さん似だからなぁ」

龍之介の言葉にくすくす笑いながらまたスマホを操作して、今度は写真を撮影したような写メ。
着物姿の、美しい芸妓の写真。

「…にそっくり」
「これがお母さん。花街で一番の芸妓だったって」
「も、これくらいの歳になったらもっと綺麗になるのかな」
「どうかなぁ…」

ふと龍之介を見上げれば、目が合い微笑みあう。
そのまま唇を重ねれば、は抱き着いた。

「この時のお母さん、二十七歳くらい。お母さんと同じ年になった時、私はどうしてるかなぁ…ちょうど十年後か…」
「俺と一緒に子育て中かな」

龍之介の言葉に一度きょとんとするも、はそうだね、と微笑む。

「…そうかも。そうだといいな」

愛されなかった。
だから、自分は人を愛する資格もない、そんな力もないと思っていた。
けれど、龍之介にあっという間に惹かれ、引き寄せられた。

「こんなに愛せる人、二度と現れない」
「それは俺の台詞」

間を空けず返され、は小さく笑って龍之介の頬を撫でる。

「私ね、今まで好きになる人もいなかったんだよ。あ、友達とかの好きはあったけど。どこかで、やっぱ線引いてたんだろうね」
「こんな可愛い子がクラスに居たら誰もほっとかないと思うけどね」

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