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君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】

第50章 50




「そんな悲しそうな顔しないで?今、私凄く幸せなんだから」
「うん…」
「お母さんのおかげだと思うんだよ。踊るのとか演技とか、芸事っていうのかな?そういうのが楽しいのは。だからこうして女優として仕事が出来て、だから今こうして龍くんと一緒に居られる」
「うん」
「お母さんが亡くなった時、世間体を気にしてとはいえ、お母様が引き取ってくれなかったら、私は多分舞妓になってて京都から出ることは無くて、ここまで来れなかった。龍くんに会えなかった」

呟きながら、は龍之介を見上げ微笑む。

「今まで感謝してたんだよ、両親に。でも、心のどこかで恨んでた部分もあった。なんで、どうしてって。でも、龍くんにあえて、初めて心から愛してもらえて、全てに感謝できるようになった。恨みなんて消えて、これまでしんどかったのは、全部龍くんに会うためだったんだって思えた」

呟き、再度微笑み、は頷く。
そして龍之介を何度目か見上げた。

「…ちょっと重いね。ねぇ…私、こんなんだけど、まだ龍くんの傍に、いられる?」

不安げな瞳。
は龍之介の事を、真っすぐで純粋で、綺麗な心の持ち主だと思っている。そしてそれは事実でもある。
だから、自分が愛されない人間であったこと、所謂不倫の末に生まれた子であることで、龍之介に嫌われてしまわないかと思ってしまったのだろう。
そんなの目元を撫で、龍之介はを抱きしめた。

「重いわけない、嬉しいよ。いつまでも傍に居て?ずっと、の傍に居させて欲しいよ」
「…うん」
「そんな心配しないで良いんだよ。が俺に言ってくれたように、どんな生い立ちだって、どんな立場だって、は。俺は、たった一人のが好きなんだ」
「龍くん…」

が腕の中で顔を上げたことに気付き、龍之介は少し体を離してを見る。
涙を堪えた瞳は、龍之介を真っすぐ見上げていた。

「ありがとう」
「お礼なんていらないよ。むしろ俺の方がありがとう、話してくれて。俺に嫌われないか怖かったんでしょう?」
「…うん」

素直にこくりと頷くに、小さく笑い、龍之助はの頬を撫で額に口付ける。

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